【涙の理由】
あの…どうされたんですか?あ、話したくなければそれでいいですよ。私は郵便屋やってます。え?確かに郵便屋っぽさはない格好ですけど…この世界の郵便屋さんってそんなにキチンと制服ありましたっけ?ふむふむ…成る程、異世界人さん。そういう方には世界自体が辛いですよね。私から言えるのは死なないだけマシとしか…アハハ…。嘘ついてないですよ。ほら、私の靴に汚れついているでしょう?これ、血液です。そう。そういう世界です。だから、フラれて辛いで悩むのは…分かりますが…それ以前の世界観なので…ハハッ…。ごめんなさい。お役に立てなくて。救われた?ありがとうございます。意外です。これからどこに行くのかって?銃撃戦が行われてなければいいなという些細な祈りが通じればいい場所です。些細じゃない!と怒鳴られましても…。常識は捨ててください。こ、怖かったですか。そ、そうでしたかね…アハハ…ハ。では、失礼します。早く配達しないと。大丈夫、死にませんよ。私が死んだら配達が止まってしまうので。生きますよ。では、お達者で。
【ココロオドル】
このタイトルを聞いたら某SDガンダムのOPである神曲が再生されるので投了
【束の間の休息】
休みか。久々過ぎてやる事が思い付かない。例え、それが刹那の間でも。目を閉じて、何も考えない。その程度か。休息は休息。隙だと捉えるな。そう言われましてもね。気が休まる気がしない。本当に休みってなんだろうな。え?煙草休憩?俺、煙草嫌い。服に臭い付いたら最悪だから。はー…やっぱり目でも瞑るか。
【力を込めて】
あー…これは…。
「何とかしてよ郵便屋さん」
えぇ!?私ですか!?対処出来なくはないですが…。
「アンタしか頼れないべ」
うっ…押しには弱いので…。せーの!
―
サイバー?っていうのあれ。この辺じゃ見ない格好だけどあの郵便屋はよく見る。最新技術ってスゲーんだな。道塞いでた巨岩を拳で砕くんだもの。だとしてもだ。反動ヤバそう。やっぱり、あの郵便屋自体も強くないか?ん?郵便屋の見た目?気弱な女子だが?正直あの体躯でありとあらゆる場所に郵便物届けてるっての信じられない程にか弱そうだけどね。
【過ぎた日を想う】
笑えていた日はいつだったか。何も知らない頃はいつだったか。思い出そうとしても過るのは先輩の顔。先輩のいない人生だってあるのに。それが全て先輩に塗り潰されている。先輩は何一つ悪くない。悪いのは…拳を握り締める。恋心と復讐心。混ざりに混ざって気が狂いそうになる。
「また考え事か」
友人に声を掛けられる。
「…あぁ」
マトモに顔も見られない。嫌いな訳でも苦手な訳でもない。ただ…気まずいだけ。あの日から日常がズレにズレて地に足ついて生きている気がしない。俺だけが別の世界に取り残されている。
「帰ってくる日を願ってる」
口数の多くない友人はさらりとそう言って去った。アイツも俺が孤独なのを理解しているんだなって思う。その願い俺だって叶えたい。普通に生きていたい。声を殺して泣いた。俺なんかが背負える問題じゃないがシェアして軽くなる問題でもないんだよ。