闇の精霊

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【過ぎた日を想う】
笑えていた日はいつだったか。何も知らない頃はいつだったか。思い出そうとしても過るのは先輩の顔。先輩のいない人生だってあるのに。それが全て先輩に塗り潰されている。先輩は何一つ悪くない。悪いのは…拳を握り締める。恋心と復讐心。混ざりに混ざって気が狂いそうになる。
「また考え事か」
友人に声を掛けられる。
「…あぁ」
マトモに顔も見られない。嫌いな訳でも苦手な訳でもない。ただ…気まずいだけ。あの日から日常がズレにズレて地に足ついて生きている気がしない。俺だけが別の世界に取り残されている。
「帰ってくる日を願ってる」
口数の多くない友人はさらりとそう言って去った。アイツも俺が孤独なのを理解しているんだなって思う。その願い俺だって叶えたい。普通に生きていたい。声を殺して泣いた。俺なんかが背負える問題じゃないがシェアして軽くなる問題でもないんだよ。

10/6/2024, 12:07:06 PM