闇の精霊

Open App
9/25/2024, 11:15:15 AM

【窓から見える景色】
車窓、窓際。そもそも、窓の役割は光を入れる為のもの。そりゃ窓の側は明るいさ。お日様さえ出てればの話だけど。お、落ち葉。秋だねぇ。ドングリでも探しに行く?本を読んでたい?読書の秋ですか。私は小さな秋を探しに行くよ。コーヒーここに置いておくね。

白のロングワンピースに茶のカーディガンを羽織った彼女は紅葉した森の中に踊る様に入っていく。いつまでも少女のような人だ。そんな彼女と結婚出来て幸せだと思うよ。僕も脚があれば彼女と踊れただろうか。普段は生まれた頃からない脚に負の感情を抱いてはいないのだがあの笑顔を窓越しじゃなく顔が触れ合ってしまいしそうな距離で見たいと思った。愛しい人、僕も連れていっておくれ。

9/24/2024, 10:08:57 AM

【形のないもの】
そういえば形見…残ってないね。思い出せるものが一つもないなんて悲し過ぎるよ。亡くなった姿すら人様に見せられる姿じゃなかったから残ってるのなんて遺影ぐらい。頑張って生きてきた人の最期がこれだなんてあんまりだよね。せめて死に様を選べたらな、なんてあり得もしない事を思う。悲しいね。

9/23/2024, 11:04:16 AM

【ジャングルジム】
昔はこれが迷宮に見えたもんよ。巨大な迷宮。気分はテセウス。アリアドネはいなかったけども。何せねぇ野郎共が好き勝手やってるガキ時代だもん。そんなんさ。ミノタウロスはいたぜ。いじめっ子のガキ大将。いつでも上にいたそいつを数の暴力で引きずり落とした。泣きながら帰ったそいつを泥だらけの俺達は嗤ってやった。そして、熱く拳をぶつけ合う。よく考えると中々に残酷だよな。いじめてたとはいえ一人に数で勝ってやったんだもの。それにアイツ傷付いて引っ越したしな。共通の敵で団結しただけの悪ガキが俺達って訳。正義なんてありゃしない。自己満足さ。

9/22/2024, 11:51:52 AM

【声が聞こえる】
秋。肌寒いなんて思うのも消え去った残暑が延々と続く四季の中で儚い存在となりつつある季節。この時期を迎えると空しさが心を支配する。普段から空虚なのに。また、彼女の元へと向かう。墓前に線香を供えて手を合わせる。線香の香りで現実を叩き付けられて気が狂いそうになるが生きている俺に出来るのはこれだけ。いつでもいつまでも思う。先輩は何を望んでいるのだろう。復讐じゃない事は知っている。興味すらないのが本心だろう。あの人はそういう人だ。でも、俺は一族の為にやりとげたいんだ。
「好きにしてもらって構わないよ。私の役目は終わったからね。亡者は亡者らしく安らかに眠るよ」
そんな都合のいい声が聞こえてきた気がした。先輩…。墓に手を伸ばしても何も掴む事はない。

9/21/2024, 12:52:36 PM

【秋恋】
まるでこの恋心ももみじみたいに真っ赤に染まるって?ご冗談を。その恋心は性欲でしかない。綺麗事並べてもこの左手の薬指に契りの指輪を嵌めてくれない限りそれは衝動的なものでしかない。泣く事ないだろう?哲学者が言っていた言葉を並べたまで。哲学を心で粉砕してみるといい。まあ、彼氏にしたい男と結婚したい男がまるで違うなんてデータがあるから私は衝動的な性欲説推したいけどね。あーあ、泣かないでくれって。そんなにショックかい?やれやれ厄介だね。これも私の憶測だが大和男児なんてもういやしないと思うよ。理由?草食男子って言葉が流行った事が証明している。もう好きじゃない?女心は秋の空なんていうけど男も大概だね。お別れならそれ…ほら泣きついてきた。辟易しているけどチャンスを与えずに突き放しもしないし、元凶は私だ。仲良くしようじゃないか。嫌気がさしたらいくらでも縁を切ってあげよう。健全な精神を保つ為。ずるずると続く悪縁など不要なのさ

Next