闇の精霊

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8/31/2024, 12:11:17 PM

【不完全な僕】
人の期待に応えようとするのは当たり前。そう信じて生きてきた。でも、ある時、言われたんだ。「君って自分の為に生きてないよね。それって生きてるの?」分からない。どれだけ頑張っても認められない僕にそんな事を問われても分からない。分かる筈がないんだ。そして、今日もまた問われる。「ねぇ、君って生きてるの?」

8/30/2024, 11:20:47 AM

【香水】
数百の貌がごった返すショッピングモール。外の暑さから逃げてきたそれらからは貌と同じぐらい多種多様な香りがする。煙草、キツい汗の匂い、インク、コーヒー。フードコートでもないのに食べ物の香りがするのは食べ歩きだろう。その人間臭さが溢れる空間でふわりとした高貴なのに蟲惑的な香りが鼻を撫でた。辺りを見渡すも主は見えない。香りから人物を想像してみる。きっと、真っ白な女優帽に真っ白なロングワンピースが似合う黒髪美人でたおやか。あぁ、美しい。そんな妄想を膨らませながら身体は現実の人混みの中へ消えていく。

8/29/2024, 11:26:41 AM

【言葉はいらない、ただ…】
さあ、新機種を手にしたぞ。移行をし…。エラーなんで?ちょ、まっ…。ごほん。あぁ、言いたい事は分かる。だが、言葉はいらない。ただ…この時間に…店は…空いてるのか?…うん…心折れた。付き合ってくれる?本当に?ふ、ふん。別に助けて欲しくなんてないんだか…嘘です。ごめんなさい。調子乗りました。許して!助けて!見捨てなぁいでぇ!!!

8/28/2024, 12:44:04 PM

【突然の君の訪問】
過去がピンポンを鳴らしてやってきた。ケジメをつけないとならない。私は美しく生きる為に故郷を捨てた。それなのに扉の向こうの過去は邪気のない満面の笑みを浮かべている。何も知らないのだろう。かってに友人面しているのだろう。腹立たしい。私はペルソナを付けて過去と対峙した。

8/27/2024, 10:04:46 AM

【雨に佇む】
冷たい雨が全身を濡らす。校舎から同級生達が心配そうにこちらを見ているが豪雨に落雷。彼方はそうそう近寄れず、此方は様子がろくに見えなきゃ声なんて聞こえもしない。そんな危険な天気の中、どうして突っ立っているのかって?希死念慮に近しいもの。こうしている時にだけ素になれる。風邪を拗らせて死んでしまえばいい、雷に打たれて死んでしまえばいい、体温低下で死んでしまえばいい。自暴自棄。どうしようもない悲しみを抱えている。だが、泣きたくても泣けない。だから、涙の表現に用いられる雨に打たれる事で擬似的に泣いているともいえる。正気じゃない。マトモじゃない。分かってる。でも、やめられない。寒さで体力が減っていくが気持ちがほんの少しだけ楽になるんだ。割に合っているか。そう問われると効率は最悪だと答えられる。この感情を気象で隠さずに表に出せたら救われるのに。

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