押しボタン式の信号機を
いつも君が走って押すくだり
無邪気に駆け出していく
君の背中を
いつも後ろから
見ているんだ
赤から青に変わるまでのほんのひとときが
君といるだけで虹色になるように
これから先も
このボタンを押すのは君だけがいい
浮気、不倫、二股、
そんな言葉が行き交うようになったのは
たぶん
大学生になってからだ
「私の彼氏重いんだよね」
「最近マンネリ化してきてさー」
1人の人を真っ直ぐ愛することが
いつから皮肉な言葉に変換されたのか
当たり前のように手を繋ぎ
当たり前のようにキスをする
そんな光景を前にしたとき
私は恋愛をすることが怖くなる
あの頃の、甘酸っぱい恋の味を
もう取り戻すことは出来ないのだろうか
「ちょっと待って!!」
僕がページをめくろうとした時
君の甲高い声が左耳に響く
「まだ、読み終わってないよ」
ムスッとした顔で
視線は僕らの前にある本の文字をなぞりながら君は言う
「そっか、ごめんね」
早く続きが読みたい気持ちを抑えながら、
君の横顔を見て待っていた
長いまつ毛に
透き通るような肌
ほんのり赤らんだ頬
「よし、次めくって」
彼女からGOサインが出たから
次のページをめくる
あれ、どんな内容だったかな
君の横顔が美しすぎて忘れちゃったよ
ページをめくる
8月31日
という響きが
私は苦手だ
人はなぜ死を選ぶのか
私には分からない
ただ
分からないことがどれだけ幸せか
私は分かっている
そんなことを思いながら今日もまた生きて
生きて生き続ける
辛い思いをしている人が1人でも減るように
願うだけで
何も自分はできやしない
大多数の中の1人でしかない自分に
嫌気がさす
いつかそんな自分を好きになれればいいな
夏草
刈られても
踏まれても
夏草はただ青く伸び続ける
そのしぶとさに
いつも羨望を抱く
雨の日も
風の日も
太陽の光を
求め続けて
進み続ける
あんなふうに、ただまっすぐに
生きることができたらな
私もまた、歩き続けよう