明日は夕方から雨が降る。天気予報で言っていた。お天気キャスターの隣で着ぐるみが傘を振り回していたから間違いない。
結構雨足が強いらしいから、長靴を履いて行ったほうがいいのかな。折りたたみ傘じゃなくて長傘の方がいいかも。
明日の授業に必要な教科書とノートを詰めながら考える。
……いや、やっぱり折りたたみ傘にして、乾きやすいスニーカーを履いていこう。
それで放課後、あの子の前で傘を忘れたふりをしてしまおう。
「傘忘れちゃった。駅までいれてくれない? 」なんて。
そうしたら、雨に濡れないように肩を寄せ合って、2人だけの世界を過ごせるかもしれない。行きたい雑貨屋さん。コンビニの新発売のお菓子。小テストの範囲とか。楽しかったことも嫌だったことも色んな話ができたらいいな。
もしあっちが傘を忘れていたら、鞄の底に入れた折りたたみ傘を出してみよう。
そもそも天気予報が間違いで、雲ひとつない天気だったとしたら?その時は素直に一緒に帰ろうって声をかけてみよう。あの子はなんて返してくれるかな。
昨日の私へ
全てを諦めてください。
いいことなんて何も起きません。
神様が降りてくるならこういう日だと思う。
雲が薄く伸びて白っぽい空。平日のなんてことのない日。
クレジットカードを忘れてどこにも行けないから、神様が降りてきて私を天国に連れて行ってくれたらいい。
この世についてあーだこーだと私が話すから、お客様のご意見として重く受け止めて改善して欲しい。
この世というものは大したものではないかもしれない。それどころかろくでもないかもしれない。
新学期に上履きを忘れたらスリッパを履いて過ごさなきゃいけない。隣の人のカレーうどんが跳ねたらシャツにシミができる。病気で心臓が動きを止めたら死んでしまう。
学校の廊下でスリッパなんて履いて走ったら転んでしまうし、シミはなかなか落ちきらない。死んでしまったら生き返らない。
この世ってリカバリーできないことが多すぎる。
え?廊下を走るな?漂白剤を使え?死んだら諦めろ。神様ってそんな俗なことを言うのかなあ。
でも俗っぽいんだったら、朝起きたら歯磨きも寝癖も直さなくても完璧な状態にして欲しいっていう私の気持ちも理解してくれるかもしれない。いや、人間はめんどくさいから全部消してしまおうって結論になるのかな。
神様視点っておっかないな。やっぱり降りてこなくていいよ。