【落下】
落下ラッコ落花生
万有引力、重力に逆らう
林檎とニュートン
落下ラッコ落花生
落ちていく心
落ちていく卵
ハンプティダンプティは
もう元には戻らない
可哀想なハンプティダンプティ
落下ラッコ落花生
落ちていくラッコ
落ちていくラッコ
浮かび上がる景色
いつか出会うラッコと落花生
それは未来の約束
太古の絆
【未来】
300年後の世界に行きたい
そして、その時代の歴史の教科書を読みたい
安心したい 或いは絶望したい
この時代が間違っているのか
救いがあるのか
それだけでも知りたい
300年後の世界地図に
果たして日本が残っているか
人類はまだ滅亡しないでいられるか
漠然とした不安に震えるいまを越えるために
わたしは未来を激しく知りたい
六年前に私が死んでからはずっと同じ毎日を繰り返しています。
一年前も今と代わりばえしない生活を送っていました。
願わくば来年も同じ日々を過ごせますように。
【一年前】
【好きな本】
赤い布張りの表紙に描かれるのは二匹の蛇
お互いにお互いの尻尾を咥えて
円環を描き出す
撫でたときのあのざらっとした感触
重たい本 中のページは二色刷りで
不思議な挿し絵が描かれていた
映画化もされたとても有名な物語
懐かしいな
幼い頃、確かに私はバスチアンになって
白い竜と共にファンタージエンを旅していた
はじめて見る風景にワクワクしたり
恐ろしい展開にこわごわ先に進んだり
冒険が終わるのがさみしくて
最後のページを捲る度に
なんども読み返しループしていた
あの表紙の蛇のように
あの本、いつの間にか失くしてしまった
だからもう冒険はできない
同じ本を買ってきても
たぶんあの頃のようには読めないだろう
そう思うけど、明日は本屋に行ってみようかな
ヒロインの名前はたしか“幼心の君”だった
またあの本の中に閉じ込められたいと思う
はてしない物語。
【あいまいな空】
曇天が僕を追いたてる
いっそのこと土砂降りなら
すかっとするのに
そんなことを思いながら
土手を走る
土が濡れた匂い
生ぬるく湿った風
未来が見えない
そんな自分と空が重なって
自棄になって叫ぶ
生ぬるい 気持ち悪い
逃げても追いかけてくる湿った風
いつかみた虹は幻
もう一度叫ぶ
あいまいな世界の中で
僕の夢もまた曖昧
空をみても答えはなくて
生ぬるい気持ち悪さ
雨よ降れ
降って全部打ち砕け
僕の悩みを苦しみを
それからグニャリとしたこの
あいまいな夢を