「空が泣く」
多分、9割の人間が雨だというだろう。かくいう私もそうである。
この言葉から、もっといろいろな解釈ができる人を、きっと天才とかそんな言葉で呼ぶんじゃなかろうか。
まぁ、自分の想像の範囲の言葉は安心できるから、世の中全てが天才じゃなくて良かったと思う。
「LINEが返ってくるまでの時間なんて、いちいち気にしない」
そんな発言をしたことを後悔した。いや、ついこの前までは、本当にそう思っていたんだけれど。
既読がついてから10分。
君からの返信がくるのを待っている。
息を吸って、吐く。
特に何をするでもなく、ただ呼吸をする。
劇的な変化も、運命的な出会いも、悲劇的な瞬間も、何もないまま、とりあえず、淡々と。
人は、命が燃え尽きるまで、生きている。
ふと目が覚める。覚めてしまった。
昨日はあまりの疲れに、10時前には布団に入ったはずだ。外はまだ暗い。
今の時刻が12時か、3時かでは、心の余裕が違う。
では時計でも見てみようか。
いや待て、それで朝の4時とかだったらどうしよう。後1時間で起きなければならない。起きたら仕事に行かねばならない。イヤだ。
横に目をやれば、賑やかな音を立てて寝ている同居人の姿。
コイツは確か今日仕事が休みだった。くそ羨ましい。
もしかして、このイビキに起こされたのか...?
「......ちっ」
何にせよ、何時にせよ、まだ起きるには早い。
とにかく再び眠らねばならぬ。
同居人の鼻つまみ静寂を取り戻すと、布団を被った。
本気の恋とは、するものではなく、落ちるものである。
そんなことを誰かが言っていた...いや、どこかで読んだのだったか。
その時は「なんだそりゃ」と思った。
正直、小馬鹿にする気持ちがあったことも否定できない。
そんな自分は最近どうかしている。
君の一挙手一投足がやけに目につく。
君の全てが、気になって仕方ない。
何を思ってる? 君から自分はどう見えてる?
不機嫌だけど、何かあった?
もっと話したいんだけど、いいかな?
自分の中を占める、君の割合が増えていく。
そして君と目があったその瞬間。
唐突に理解する。
ーーーあぁ、落ちてしまった、と。