終わらせないで、、、
私の心の中で突然響いた声。
びっくりして後ろを振り返ったが誰もいなかった。
でもその瞬間全てを思い出した
この言葉をくれたのはあなただということも
全てのことに疲れて
飛び降りようと思ったことがある
でもその時あなたは言ってくれた。
「どうか、君の人生を無駄にはしないで。君の人生を終わらせないで、、、」
私を救ってくれた一言。
私の心の支えになってくれた人。
今はもう居ない。突然の事故だった。
だから私もそちらへ行こうと思ったのに
この言葉を思い出した瞬間涙が溢れて
ああ、、なんて虚しいんだろう
飛び降りれないよ…。
親への愛情を貰ったことの無い私は、愛情というものを知らなかった。学校で習ったこともないし、友達もいないので聞いたこともなかった。
街で親子が楽しそうにしているのを見ると腹が立つ。私だって愛情を貰って育ちたかった。親ガチャ失敗、とダメなことを考える。でもやっぱり諦めきれなくて、愛情を貰って育ってきた人たちには何かしらの不幸が起きて欲しいと願うばかりだ。
私は今世界で1番不幸かもしれない、だから次生まれ変わる時には愛情を注いでくれる家族がいい。これまでに無いくらい大量の愛を。
「愛情」
朝起きると不自然な倦怠感に襲われた
まさかとは思ったが体温を測るといつもより6℃高い
いわゆる微熱、というものだ
それでも自分を奮い立たせて起き上がる
あわよくば休めたら、と思ったがそんなことは通用しないと分かりきっているので仕方なく学校の準備をする
でも学校は嫌いでは無い
友達や先生、クラスメート
特に…
「おはよう!!今日も一日頑張ろう!」
話しかけてくれる君の存在がいるから
君がいるから頑張れる
君のことを見れたらそれでいい
君のおかげで微熱の事などすっかり忘れられるくらいに。
寒い寒い、とはしゃいでいたあの冬。
セーターを持ってくれば良かった、と笑いながら上着の裾を限界まで引き上げて中に手を押し込む私。
僕がいつでも君のセーターになってあげるのに、と君が耳を赤くしながら冗談ぽく言ったあの日。
君のことが好きでしょうがなかったのに
君のことを愛してやまなかったのに
君がいないと生きていけなかったのに
いつしか私の隣はぽっかりと穴が空いたままだ。
それが埋め合わされることもなく、無くなることもない。
ねえ、寒いよ
セーター持ってきてないんだ、
だから暖めにきてよ
[セーター]
今まで来たことも無い道を辿って
全てにさよならをしようと思った
崖を登った時にはもう何も考えていなかった
崖から見える景色は
これまで見た事ないくらい壮大で
そしてこの世の全てを映し出してくれる
今まで感じた苦しみも悲しみも虚しさも
全部全部忘れ去るような景色だった
家や学校や友達よりも
ずっとずっと心の安らぎを感じられる景色だった
最後に何かを遺しておこうと思ったがそんなものはなかったので 「誰からにも愛されてなかったんだな」 と他人事のように思った
深呼吸をして空を見つめる
今までの出来事全部
これから起きるはずだった未来全部
私は背負って
思いっきり
崖から飛び降りた
どんな日よりも素敵で
どんな日よりも輝いていた
ゆっくりと目を閉じながら
私は
落ちていった
「落ちていく」