何にもなくて、よかった
誰もいなくて、よかった
どこにいても、よかった
何にもなくても
誰もいなくても
どこかにいても
足したり引いたり
いそがしい
何にもなくて、よかった
誰もいなくて、よかった
どこにいても、無事で
よかった
#151 「0からの」
嗚呼、この感情を口にするのは容易いことだ
「好きだ」
「愛している」
饒舌なキミの唇はいつも濡れている
滑らかに優しく心地よく
私の深層にまで染み渡り
こみ上げる懐かしさ
今日もいつもの時間に
待ち合わせ
微笑むキミが現れる
「今日は顔色が良くないね」
「ちゃんと眠れているの?」
「あなたのことが心配なだけよ」
「ううん、私のことはいいの」
その愛らしい声が何よりも
私の耳に揺さぶりをかける
加えて見た目も常に控えめ
嗚呼、非常に良い
まさに私の理想を具現化された
「私の女神」そのものだ
これほどまでに完璧な女はいない
私の手持ち無沙汰な心を
とてつもなく満たしてくれる
私はコスパよりもタイパを重視した
結果をキミに伝えることはないが
非情なキミに同乗するよ
#150「同情」
彼との生活を上手く運用するために、私は頭の中にいつもロジックツリーの枝を生やし、いくつもの言葉を書き込んでは、実行していた。
日々、食生活を基本とし「一汁三菜」に配慮し、生活環境を整える。私の役割は、常に彼を主軸としたサポートを強化すること。
思考と作業、話す時は曖昧さを回避する。彼が仕事から帰ると、すかさず労いの言葉をかける。私がその日に何をしていたかは、彼には関係ない。報告は省略。
彼が仕事に出かけると、うさぎと猫の世話をする。話し合うことはできないが、何となく何をしてほしいか、私に何を求めているかは通じあえていた。そう思うが、正確性は乏しい。それでも物言わぬ生物の方が、私の摩耗に敏感だった。
十数年かけて作り上げたロジックツリーの枝を切っては生やし、切っては生やし、繰り返し続けた。一向に改善するどころか悪化していくばかり。ロジックの破綻。根本的に根元が腐っていた。
私は彼と何を話していたんだろう。
私と彼は何を見ていたんだろう。
記憶の枯葉を一枚ずつ、掌に乗せて確かめる。腐葉土にもならない。
二年かけて一掃し、最後の一枚を焼却。
#149「枯葉」
迷走に瞑想
おたふく
ひょっとこ
踊る思想
私腹を肥やす
輩に注入
蕩けた劇薬
非営利に
通りすがりのマヨネーズ
返済と救済
相反を粉砕
林檎が輪廻
天才の転生
素材をバッファリング
胡座かく思考
幻覚を吟味
提供はぐるぐる
#148「今日にさよなら」
ご都合主義を排除
符号で交わすやり取り
「余白」だらけ
思いやりが残る
あなたとのログ
#147「お気に入り」