百日紅が芽吹きだす
今日も饒舌な
テキストの海
時代を語る
知ったかぶりで
勝った負けたの猿芝居
土壌の手入れは
なおざりに
「20歳おめでとう」
愛嬌
コミュ力
自己肯定
チルるもフリーな
承認欲求
百日紅が芽吹き出す
20歳を語るには
まだまだ早い
20歳
#120「20歳」
寄る辺なく歩く
ひたすら歩く
前進なのか
後退なのか
夜道を歩く
ひたすら歩く
無月の空が続く
生き様死に様
馬鹿馬鹿しい
無自覚にも
感覚だけが
研ぎ澄まされて
鋭い刃に仕上がった
寄る辺なくとも
細く光る刃
恐れる心は
ただの雲
無月は雲の拐かし
秘めたる内を
刃で刺す
#119「三日月」
ぽんぽん
ぽんぽん
弄ぶ
産まれた時は
白い玉
幾度も触れられ
色移り
今度は
どこに投げれば
いいのやら
イッテン
心は球体か?
くるくる
くるくる
目が回る
あの色
この色
歯車が
早さはさらに
増すばかり
回り回って
混色に
光が射抜く
ルーレット
イッテン
心は色相環?
自分はさておき
占い師
ようこそ皆様
いらっしゃいませ
あなたの色を
当てましょう
はいはい
はいはい
車窓は
いつもの
モノクローム
白より灰色
より濃く灰色
#118「色とりどり」
雪がちらつく
十二月
あの子を迎えた
長い耳が灰色
小さなしっぽも灰色
瞳はアルビノ
真っ赤な目
あとは真っ白
女の子
気丈で寒がり
こたつ好き
好きなおやつは
真っ赤な林檎
共にした十年と
同じ月日が経つのね
十年前の一月
大雪になる前日に
大好きだった
林檎を持って
「お先にごめんあそばせ」と
虹の橋に出かけていった
真っ赤な林檎は
あの子の瞳
小さな口で齧る音
雪うさぎ
雪の日に迎えて
雪の日にさようなら
ちらつく雪は
あの子の温もり
#117「雪」
私はどこまで君を
連れて行けるだろうか
燦燦と降る雨の中
駆け足で進む参道
青、紫、白の
紫陽花が咲き誇る
たくさんの雨粒が
足元を濡らす
構うものか
差した傘すら
邪魔になる
鬼副長の像
「やっとここに来れた」
言葉にせずとも
目線だけで通じ合う
君と最後に見た景色
君が好きだったものが
私の好きに繋がっている
否応もなく
君との約束は
最期の地に一緒に
佇むことだった
私が君の元を離れた理由を
言葉では問い詰められたが
本当の君は
私を責めてはいなかった
「行け」
その言葉を飲み込んで
役割を果たしていた
私は誰にも言わず
君との約束は
必ず守る
君と見たい景色が
私の見たい景色
例え一人
その地に立っていようと
私は君を連れていく
どこまでも
ずっと
#116「君と一緒に」