「あ、アイスクリーム食べたい」
って言葉で蓋を閉めた
キミの隣のあたしの気持ちは溶け出して
こぼれそう
だから
「アイスクリーム食べよ」
って、帰り道にコンビニに寄り道
いつだって会える距離なのに
「またね」がいつかわかんない
#61「こぼれたアイスクリーム」
一喜一憂ツギハギだらけ
今日も晴れててうっとおしい
鬱々気分で精一杯
見えない敵と戦って
あなたの声が聞きたくても
悟られまいと気にしてる
片想いって美しい?
あなたの気持ちは知りたくない
今日のあなたは幸せですか?
リアルな私は不幸です
不幸の数だけ当たるレアリティ
揃えたキャラは育成できず
中途半端なイベントに
参戦しても微力です
ゲームな人生
人生ゲーム
人選しだいの気分しだい
あなたの声が聞きたいの
近づくほどの勇気は無い
四角い箱で滅入ってます
編成ボーナス大歓迎
分け合う報酬魅力です
あなたのバディは何ですか?
食べ損ねた夕飯もう深夜
私の声がうるさいの
頭の中の劣等感
いい加減な私でいいですか?
嘘つくことすら面倒だから
正直者でおバカなの
#60 「またいつか」
学生の頃から
作文や読書感想文は得意だったのに
日記は嫌いだった
社会人になってから
日報を書くのは嫌じゃなかった
でも、日記を書くのは相変わらず
嫌いだった
今日の私も日記を書くのが嫌いです
ついでに予定を埋めていくのも嫌いです
#59 「私の日記帳」
キミと日々ほんの少し
文章でやり取りすると
まるで鏡の前にいるかのよう
心と心を向かい合わせて
照らし合わせている
そんな気持ちになる
今日のキミは元気ですか?
何か変わったことはありませんか?
嫌なことはないですか?
楽しく過ごせていますか?
好きなものは増えましたか?
ほんの少しずつの
言葉のやり取りだけど
優しくて心地好い世界の共有
希望の確認
楽しくて
うれしいね
そして今度
会った時は隣にいてね
歩きながら
お茶しながら
たくさん話そう
笑い合おう
#58「向かい合わせ」
今日午前9:30を過ぎた頃
突然、玄関からピンポンと音がする
土曜日の?
午前中に?
訪問者の予定?
あるはずがない
恐る恐るドアスコープを覗くと
(インターフォンカメラ付きではないので)
見知らぬおじいちゃん
大きなリュックを背負った
半ば疲れた顔したおじいちゃん
悪いが用心のため
すぐにドアを開けずに「はーい」と返答したが
すかさずまたピンポン
もう一度「はーい」とさっきより大きな声で返答するも
すかさずピンポン
これでは埒が明かないと判断して
仕方なくドアを開ける
はぁはぁ……と疲れた息を漏らして
おじいちゃん
「自転車が壊れてしもうて直して欲しいん」
ああ、ああ、それは無理だよ
おじいちゃん
下の階の自転車屋さんのビルに住んでるだけで
私、自転車屋さんじゃないのよ
「私はお店の関係者じゃなくてですねぇ。10時開店なので、それまでお待ちいただくしかないかと……」
申し訳ないがそう答えるしかない
「ふはぁぁぁー」
ものすごく深いため息が聞こえる
あと30分弱で開店時間なんだけど
おじいちゃんには
30分はとてつもなく長く感じたろうな
そう思うとやるせなかったが仕方ない
自転車直してもらえてるといいね
そして、これからも安全運転でよろしくね
最後に一つだけ
返答なしの連続ピンポンはとても怖かったよ
#57「やるせない気持ち」