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5/6/2024, 3:59:31 AM

『君と出逢って』

家が隣同士
部屋が窓越し同士
同じ保育園
同じ小学校
同じ中学校
同じ高校
同じ大学

社会人になり会う回数は減ってしまった。
それぞれの道を歩む中、たまたま君を見つけた。

喜びと悲しみと、それから愛しさ。

「やぁ、久しぶり。元気にしてた?」

その言葉しか出なかった。

あの日の事を僕は未だに忘れることが出来ない。


ある程度の時間が経過して僕は立ち上がり「またね」を告げる。数歩歩いてから足を止めて振り返る。

「僕は君が大好きだったよ。いや、これからもずっと。」


彼女の墓石の前で僕は精一杯の笑顔を作る。
来年、再来年、死ぬまでずっと僕は君に会いに来る。
僕の人生を変えてくれた君を、僕は愛し続ける。

さようなら何て言わない。
だって、僕達は永遠を誓ったのだから。


大学を出て社会人になり、お互いの時間を過ごす中たまたま僕は立ち寄った公園で彼女を見つけた。
何年ぶりかに会った彼女は昔と変わらず花が咲く笑顔で僕に言ったんだ。『何だ何だ、そのやつれ切った顔は。私が特別に話聞こうか?』と。
僕は少し笑いながら「やぁ、久しぶり。君こそ元気だったかい?」と答えた。
それから再び始まった僕らの時間。
流れる様に僕は彼女にプロポーズをし、同じ名字になった事に酷く浮かれていた。
それから1年。僕達の結婚生活は終わりを告げた。
彼女に癌が見つかった。厄介な癌だった。
彼女自身さえも気が付かないほどの、それ。
余命宣告された彼女だけど、1度弱音は吐かずに闘病生活を繰り返し、でも……そのまま帰らない人になってしまった。
最期、僕に言ったあの言葉。

『私以外を愛したらダメ。好きになるのはいいけどね。泣き虫で寂しがりの君を愛せるのは私だけなんだから』


僕は思わず笑ってしまった。
良く考えれば彼女が居ないとダメダメな僕が今まで頑張れたのは彼女の笑顔のおかげだった。

『もういいのかい?』
「うん、もういいよ。」
『……偉かったね、頑張ったね。』
「そうだね、僕は頑張ったんだ。君がいなくて寂しかったけど、頑張ったよ。」

『お疲れ様、私の可愛い旦那様。』
「ありがとう、僕の可愛い奥様。」

僕は静かに目を閉じた。
自分の年齢が3桁行った時の事だった。