私、放課後にシェイクを飲むのが夢だったの。
カプチーノ色の髪した、あの子の横顔をトッピングして。
けど私の学校は、買い食いをしてはいけないの。
だけどあの子と隠れて飲むフラペチーノは、チョコチップみたいにほろ苦くて少しだけ、悪いことをしている気分だったと思うのよ。
みんなが抱えるそんな秘密は、ニキビみたいにふつふつと泡立って、先生にバレちゃって、潰れたニキビみたいに肌に痕が残っちゃって。
最終的に、氷が溶け切るまで、学校に来てはいけませんってなったの。飲み残しは悪いもの。
私、それでも。
それでも放課後に、シェイクを飲みたかったわ。
カプチーノは、ブラックにトレンドが変わったみたいだけれど。
私は好きよ、カプチーノ。トッピングはしないの。ニキビができてしまうかもだから。
さよなら、カーテンコール。
もう喜劇はおしまいなの。もう悲劇はおしまいなの。
残念ね、残念。
私もここで終わるなんて、思っていなかったわ、
さよなら、さよなら、みなさん。観客よ。
私だって、1人だけでもいいから、私の人生にスタンディングオベーションしてくれてもよかったじゃない。
仕方ないわね、私は主人公じゃないもの。
私の人生の主人公は、私じゃないの。
人気者のあの子なの、がっかり、残念、本当にいやなやつ。
大きな絵画である。
自然美しい、天然の絵画である。
四季で絵は変わり、気温でエフェクトがかかってしまう。そんな絵画である。
不思議なことに、この絵画は基本どんな建物にも、額縁に納められ立てかけられている。
そうして、この絵画は持ち運ぶことができず、ここにあることしかできない。
そんなものであり、この絵画の複製品なども存在できないのである。
この絵画は、我ら人間と同じく、唯一無二なのである。
酷い人よ。私なんて。
だって、アンタに好きな人が出来たら面白くないの。
アンタの惚気なんて、聞きたくないわ。アンタ、随分お幸せそうなんだもの。やんなっちゃう。
まあアンタは、私がいないとダメなのよ。だって、好きな人の自慢は、私にしか出来ないのだから。知っているわ。アンタのお友達は、私だけなんだから。
残念ね、彼女。彼女は、アンタの一番のお友達になんかなれないんだから。アンタはいいわね、誇らしいわね。好きな人の話を、アアウンソウ、なんて聞いてやるのなんて、私しかいないんだから。
ところで、ねぇ、アンタ。
私、酷い人だから、アンタの彼女に、言っちゃった。
アンタの彼氏、結婚するそうよ。アンタと。ハイって頷いてやりなさい。って。
ね、私,酷い人でしょ?アンタのとっておき、奪ってやったわ。だってもう、私やんなっちゃったんだもの。いつまでも、いい返事ばかり返してやれないわ。私、アンタの一番になれなかったんだから。
青春は置いてきてしまった。
唯一知っているメールアドレスに、連絡をするほどの用件はない。しかも、メールでなんて。もうすっかり馴染みもない。昔は、友人とのやりとりで埋められていたメールボックス。今来るのは、迷惑メールやら通販のお知らせとか、返事が不要なものばかり。
あのころ、何を話していたのかなんて、記憶にない。とっても、他愛のないことだったのでしょう。
そんな時期が、一番楽しかった。そう思うなんて、私は随分大人になってしまった。