「手を取り合って」
幼稚園に入園した3歳の我が子
毎日幼稚園に行くのが楽しくて仕方ない様子だが、友達がいるようにはなかった
「3歳くらいだと好きな遊びを自分で決めて、同じ遊びを選んだ子たちと遊ぶのが主なんです。大丈夫ですよ」
担任の先生にそう言われ、少し安心した
幼稚園の親子遠足に行く機会があった
同じクラスの子と手を繋いで歩く姿を見て、友達の名前は覚えられなくても仲良くできているのだなと安心した
「優越感、劣等感」
学生時代、身長が高くコンプレックスであった
目立ちたくなくても目立つため、背中を丸めて過ごす毎日
「貴女のせいで黒板が見えないのよ」と言われた時は結構傷ついたものである
都会に出ると運良く周りの背も高かった。私は目立ちすぎる事がなくなり、遅ればせながらハイヒールを楽しんだ
ハイヒールを履くと背筋が伸びる。母に「ハイヒールを履いてるのに猫背だとエヴァンゲリオンみたいよ」と言われ、意識して伸ばす
背筋が伸びれば、私は私の事を少しだけ受け入れ好きになれた
「これまでずっと」
3、4年くらいやり込んだソシャゲのデータが消えた。アップデートが失敗して開けなくなった
よりによって楽しみにしていたイベントの日だった
無課金勢だったのもあり運営に文句を言う元気もなく、そのままサヨナラした
3日くらい引きずった
「1件のLINE」
「久しぶり、もしかして子どもいる?」
高校のクラスメイトからのLINEである。友達の友達くらいの関係でそこまで接点がなかったはずだが、突然何なのだ
LINEのホーム画面が子どもの写真だったので恐らくそれで分かったのだろうが、突然すぎて怖い。マルチの勧誘だったらどうしよう…(マルチトラウマ)
話しているうちに彼女にも子どもがいる事がわかった。ホーム画面にいた私の子が自分の子と同じくらいの年頃のため気になって連絡してしまったようだった。トントン拍子で会う事になり、それから彼女とその子ども達とは仲良くしている
◇ ◇ ◇
子どもの話がひと段落した頃。また彼女からLINEが来た
「そういえば共通の友達が今度結婚式挙げるんだけど、友達の旦那さんがサプライズ計画してるんだって!貴女にも友達にお手紙書いて欲しいなと思ってるんだ。あともし友達の写真があればください」
ああ、さてはこっちが本題だな…?この話をしようとして私のホーム画面を見て、本題を忘れたんだな…?
「目が覚めると」
携帯のアラームが鳴って目が覚める
今日は夜勤なので起床時間は昼だ。予定通りの起床である
いつもとひとつ違った事は、両親や彼氏、職場の人から大量の通知が来ていた事だ
その日の朝、大きな地震があったらしい。当時住んでいた場所から震源が近く6弱くらいはあったようだ。よく寝ていられたなと自分でも呆れる
単身上京し一人暮らしだった為安否の確認ができないまま被災してから数時間が経っており、その間ずっと爆睡していた私は各方面に怒られた
安否報告のため慌てて電話をかけた父に「家財の方は大丈夫か?」と聞かれ、部屋をぐるりと見渡す。言われてみれば雑貨が少し倒れているが、テレビも無事だし大丈夫!と視線が部屋を一周し、最後に目に入ってきたのは
私の隣で真っ二つに割れた壁であった
震度6弱の地震に耐えながら、自分の真横でバキッと壁が真っ二つに割れる事を想像すると寝てて良かったのではと思う。絶対トラウマになっている
この後、すぐにアパートの管理会社に電話した