NoName,

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4/30/2024, 3:38:22 AM

蒲公英の綿毛になって風をつかまえたら、次は上昇気流に乗り換えさらに高く、遙か遠い高原をめざそう。
人間の立ち入らない木立の中の陽光の届く地面で、ひっそりと咲く夢を見る。


お題「風に乗って」

4/29/2024, 3:58:17 AM

とある路地の奥に、刹那という占い師がいるという。
その占い師は気まぐれに突然、客の目の前で指をはじく。
パチン!
客は面食らって一瞬目をつぶる。
その瞬間、客の脳裏には60枚程の写真で構成されたパラパラ漫画のような映像が映し出され消え去る。

「え?今の何?」
と思って目をあけるとそこに占い師はいないそうだ。

人生を左右する映像をみせてくれるという不思議な占い師の話。
本当だろうか。





お題「刹那」

4/27/2024, 11:00:11 PM

どうやら俺は死んだらしい。
体は病院のベッドの上にあるのだが、俺はそれを見下ろす位置にいるみたいだ。
さっきは駆けつけてきた息孑が、お医者の先生につかみかかって驚いた。

廊下には知らぬ親子がベッドの俺を見ている。
子供は怪我を負っているようだ。
そうか、あの子は助かったのか。
そのことに気付いて、顛末を思い出した。

横断歩道をもう少しでわたりきるという時に、信号無視の車がこちらに向かって来たのだった。
とっさに視界に入った子供を俺は歩道に向かって突き飛ばしていた。

そうか、俺が突き飛ばしたせいでケガをさせてしまったのか。すまない。
でも車には、はねられなかったみたいだな。良かった良かった。
ま、自分がはねられて死んでしまうのは予想してなかったけどな。

俺は自分の人生がつまらないものだと思っていた。意味あるのか?家族のためだけの平凡な人生も悪くはないが、なんかもの足りないような。

けれど今わかった。
俺の生きてきた意味。
あの子の命を、あの子の家族を救う為だったんだな。そして息子であるお前に俺を誇りに思ってもらいたかったんだって。
いい父親じゃなかったけれど許せ。母さんをよろしく頼む。


お題「生きる意味」

4/27/2024, 4:10:42 AM

貴男が誰かを殺めたとして、
私は貴男という人が、どんな人かを知っているから(それがたとえ私だけが知る貴男だとしても、それだけで私は充分)、
そうするだけの理由が、その手段を選ばなければならない理由があると、確信できる。

だから貴男を守るためなら、貴男の身代わりに死刑になってもかまわない


お題「善悪」

※最初に書いた文章を削除して書き直しました。
お許しを。


4/26/2024, 5:02:50 AM

どういった話の流れだったのか、
「星はね、夜だけあるんじゃないんだよ。昼間だって」と彼が空を見上げたので、つられて僕も見上げてしまった。

「明るすぎて見えないけどね。」といたずらっぽい笑顔でこちらを向くから、僕は自分のマヌケさを、また彼に晒してしまったことに気付いて、耳が赤くなった。

「そういう素直なとこ、好きだよ」
彼の言葉に、僕は笑いでごまかしながら自分の動揺を必死で抑えた。
(僕のバカ!好きってそういう意味じゃないだろ?何期待してんだ。今のこの関係を壊したくないだろ?)


「ついでに言うと、昼間流星群っていうのもあって、おうし座ベータ流星群ていうのが、ちょうど今頃ピークをむかえるんだって。そういうのはレーダーで観測するんだってさ」
「ちゅうかん?ベータ?」僕は動揺と疑問でいっぱいになりながらきいた。


「そう、昼間の流星群。見えないけど、今、空のどこかに流れ星が流れてるかもね。願い事でもしてみる?」と彼が再び空を見上げた。


見えない流れ星に願い事?
もし叶うなら
僕の言えない言葉をそっと彼に伝えてくれないか。

君の横顔を見つめながら、僕は心の中で願っていた。


お題「流れ星に願いを」

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