【雫】
待ち人は来ず
花雫に濡れて待ちぼうけ。
花の盛りも過ぎて
落ちる花びらが肌に付く。
目に映る景色は美しいはずなのに
雫が頬を伝うせいで世界が歪む。
それでも期待を捨てられずにいる
私をどうか笑ってください。
【何もいらない】
お昼のデートは断られて夜セックスするだけでも
夜中急に迎えに来いって言われても
誕生日やクリスマスを一緒に過ごせなくても
文句一つ言わないわ。
ただの都合のいい女になってるってわかってるの。
それでも貴方以外何もいらないから
どうか私を捨てないで。
【無色の世界】
何もかもに興味が湧かず
生きていることは本当に空虚で
この無色の世界で
何が僕を満たしてくれるのかと
全てを諦めていた。
だけど
君と出会って世界が一気に色付いた。
世界の美しさを君が教えてくれたんだ。
つまらなかったのは世界ではなく僕の方。
君がいることで僕の心は満たされて
世界平和を祈る博愛主義者に大変身さ。
君のことも君がいるこの世界も
僕は今心から愛しているよ。
だからどうか
永遠に僕のそばにいておくれ。
【桜散る】
桜舞い散る中
花筏と朧月に酔いしれたあの頃を思い出す。
美しい景色とともに閉じ込めた記憶。
季節が巡ればこの景色との再会は叶うのに
君の笑顔を見ることも
君の声を聞くことも、もうできない。
あの頃に僕の魂は置き去りにされていて
もう思い出せない君の温もりと香りに
恋しさが積もり積もって狂いそうだ。
君がいないこと以外何も変わらないはずなのに
それだけで世界が霞んで見えるよ。
【ここではない、どこかで】
貴方に大切にしてもらえて
とても幸せでした。
私ももっと貴方を大切にしたいと
心から想っていました。
あなたとの未来を
いくつも思い描いていたけれど、
あの赤い手紙が届いてから
全てを失ってしまいました。
今でも貴方の優しい微笑みを忘れられません。
貴方の骨の一欠片も髪の一房も納められていない
ただの石の塊の前で昔を思い出しては
貴方との日々が恋しくて仕方がないのです。
ここではない、どこかで
いつかまた出会えたら
その時はまた、私を選んでくれますか。