昔一度、検査で入院したことがある。
4人部屋だったけど、挨拶程度にしか話さなかったから一人音楽を聴いたり携帯を見たりしていた。
夜中になっても一向に眠れない。一日ベッドにいるだけだから眠くならない。辺りは静寂な闇。誰の寝息も聞こえない。灯りを消していないのはたぶんわたしだけ。ベッドを囲むカーテンに映る自分の影をじっと見つめた。手で影絵を作ってみたりした。
何故か涙が出た。心細くなったのか、帰りたくなったのか。ただ、そこでは静寂と影がわたしを独りにしていた。
明日、もし晴れたら君に会いに行きたい。
梅雨空みたいなわたしの心を明るくしてくれた、
太陽みたいな笑顔の君に。
梅雨が明けた。明日はきっと、晴れるよ。
友達が少ないから、どこに行く時も一人が多い。
大好きなカフェも、映画も、買い物も、いつも一人。
一人の時間は嫌いじゃないけど、とても好きってわけでもない。
一人でいることがただ、平気なだけ。
本当は誰かと一緒にいて、色々な事を分かち合いたい。
愛猫が虹の橋を渡り4年が経った。
白黒模様、黒の仮面を被った様な顔の雌猫。まんまるの目は澄んでいて、深い緑色をしていた。近くで見るとまるで衛星から見た地球の大陸のようだと思った。瞳にわたしの顔が映っていた。
手を叩いて名前を呼ぶと、必ず目の前に来てゴロンとしてくれた優しい子。
享年19才。あの美しく神秘的な目を思い出す。
わたしはなんにも取り柄がない。夢はあっても向上心がないから夢のままで終わる。自分に自信が持てない。
自信があることといえば、自分が晴れ女だってことくらい。旅行先で友人に言われた事がきっかけだ。出掛けると決めた日はいつも晴れてるし、雨の日でも外に出る時は大抵降っていた雨も止んでいる。
たとえこの先悪天候が続いても、最後は形勢逆転してみせるよ。大丈夫。太陽はわたしの味方だ。