言葉はいらない、ただ・・・
そばに居て抱きしめて欲しいの。
あなたがいれば、ひとりじゃないって感じれるから。
ただ私を、愛して。
突然の君の訪問
キテホシクナカッナ‥。
雨に佇む
イジワル魔法使いとその弟子の話。
しとど降る雨の中、私は傘をささずにぼんやりとしていた。視線の先には茎から上が項垂れている花。雫に打たれて花弁が透明化している。
快晴になると正反対に真っ白に咲く不思議な花。
師匠におねだりして種を買ってもらいそれから毎日水やりを欠かさずに、日光に浴びすぎたら日傘をさして面倒も見た。
でも‥‥‥。
「‥‥元気なくなっちゃったな」
右手にはハート柄の傘。私自身がさす訳じゃない。
師匠が本を読んでいる時、窓を見ると大粒の雨が地面に叩きつけられ水溜りに消えていくのを見た。私は急いで玄関を出る。途中、師匠が何か言っていたがそんなことなど気にする余裕もなく外へ駆け出した。
結果、今に至る。
これからどうしよう。
ふと頭上に影が現れる。びっくりして顔を見上げると、師匠が傘を私に差し出して不思議そうな表情をしていた。
「こんな所で何してるんだい? 傘もささずに飛び出すから何事かと思ったよ」
「! 師匠‥‥」
「風邪引きたいなら好きにして構わないけれどそしたら誰が面倒を見ると思ってるの? 全く‥ボクも暇じゃないんだからさ」
「ご‥‥ごめん‥なさい‥」
「謝らなくて良いよ。それで、どうしたの? ボクに言えないこと?」
師匠はしゃがみ込んで私と同じ目線に話しかける。師匠はいつも、心を振り回すような言動を発することが多いがその心理は私を気にかけている本音が隠されているのを私は知っている。
その目立たない優しさに私は泣きそうになるのだ。
過去も、今も。
「花が‥‥‥元気なくなっちゃった」
「花? あぁ、この前君が買ってって駄々捏ねた時に仕方なく買ったやつ?」
「別に駄々捏ねてはなかったですもん‥‥」
私は頬を膨らませてそっぽ向くと師匠は揶揄うように笑う。この人、私の反応を見て楽しんでいるな。けれど次の瞬間、師匠の声のトーンに変化が起こった。
「見てごらん」
顔を見上げる。私は目を見開いた。その光景はまさに有り得ないもの同然だったのだ。
パラパラ降る音が無音に変わり、灰色の空を背景に雨粒がピタリと空中に静止していた。
「雫が‥‥止まってる」
「雨の時間を止めたのさ。一時的にね、この辺りだけれど街方面はいつも通り降っているよ」
あぁ、成る程。私はそこで理解した。
時を操る魔法は魔法の中で上位に難しい。高度な技術が必要なのだそう。
それに加えて範囲を定めて魔法をかけるなど、更なる実力がなければ出来ないのだ。
流石師匠だ。魔法使い界隈で有名なだけである。性格に少々難があるが、実力は本物だ。
私はそんな師匠が大好きだし、尊敬している。
ふと地面を見て驚いた。
「お花が少しずつ元気になってる‥!」
「まぁ、この花は魔属性だからね。魔力もあるし、それなりに災害の耐性はついてる。特にこれは、雨に特化した花だ。雨の雫を好み成長するんだよ。普通の水でも育つけど」
「え?」
「多分、一気に多量の雨を摂取したせいで気絶したんだろう。大丈夫だよ、次第に元に戻るからさ」
‥‥‥はい?
私は師匠の言葉に頭が真っ白になる。言葉が上手くでない。口をパクパク開ける私に師匠は悪戯顔になってこう言った。
「つまり、今回のは君の思い込みが激しかったってことだね♪」
「師匠それを知ってて‥‥」
「まぁ、教えない方が面白いかなーって」
テヘっと舌を出して笑う師匠。
その瞬間、私の顔は真っ赤に染め上がった。そして、師匠の大きな背中に飛びついて叫んだ。
「師匠のイジワル〜〜〜!!」
「アハハ。やっぱり、君はそうでないとね」
私の日記帳
日記は書いたことないなー。
そもそも日記の書き方をあまり知らない。
「楽しかったです」や「面白かったです」を淡々と書けば良いのかな。
でも二行三行で終わってしまいそうだな。なんの面白味も感じられないかもって思ってしまう。
あと思うのは、今日はまだ終わってないのにたったの二行三行で終わるほど薄っぺらいものになってしまうのかと考えると何だか切なくなるな。
だから、空想と妄想が大好きです。考えれば考えるほど世界が広がるし、自分を幸せにできるから。
向かい合わせ
向かい合って座るのが苦手。
その理由はよく分からないけれど、見透かされてるようなそんな気がするからかも。
でも実際、そんな場面になったとき自然と相手と面と向かって話せるし、目も合わせれるけれど。
後になって思い返すと胸がドキリとしたなと感じたことがあります。
こう考えてみると自分って、なんだか変な人なんだなと思いました。