淡時間

Open App
2/17/2025, 4:56:03 AM

『時間よ止まれ』

時計の針を指で重ねて、魔法を解いていく


歯車に振り落とされた人々の少し甘い涙は

錆を舐めるような聖歌をうたい続けたまま

焦げ付く匂いは乾電池の電極を間違えさせ

端っこにこびり付く永遠を醜くも奪い合う


ゆっくりと、ゆっくりと魔法は解けていく

止まった時間の中で私は何を後悔できるのだろうか

止まった時間の中で私は何を信じられるのだろうか

2/11/2025, 1:19:56 PM

『ココロ』

薄まったまま、不透明なまま

何か混ざりあった月日は私を満たしている


激しく脈打つ気持ちをいつだって押し流しては

いつしか忘れた抑揚をまだ追い求めていて

いつしか失った抑揚をまだ思い出していて


寂れ、剥がれていく

離れ、裂かれていく

抑揚の無い言葉はまだ、全身を這っている

2/10/2025, 1:31:45 PM

『星に願って』

ららら、ららら

白くて大きなマフラーに目を奪われて

ららら、るるる

ココアを1口飲んだらとっくに冷めていて

るるる、るるる

こんな街路灯の下では何も見えなくて

るるる、ららら

流れ星にすら願う何かも見失っていて

ららら、ららら

雪に混じったこの白い息ですらもいつか

ららら、らららら

溶けていくのだと、知った

2/7/2025, 11:33:22 AM

『誰も知らない秘密』

ごめん、ごめんね

ごめんなさい

さようなら、さようなら


教えてくれてありがとう

話してくれてありがとう

見せてくれてありがとう

泣いてくれてありがとう

怒ってくれてありがとう

笑ってくれてありがとう


さようなら

さようなら、さようなら

2/4/2025, 2:05:30 PM

『永遠の花束』

ただ、花が咲いている

白い、真白い花々は項垂れている


陽の光は蜜を求めて葉を揺らし

雲が月を隠した頃に蕾が開いた


呼吸を忘れられる程に絡まるピアノの音色と

あの部屋に咲いたピンクの花が好きだった


ただ、花が咲いていた

ただ、ただ無造作に咲いていた

Next