1/6/2025, 2:03:33 PM
『君と一緒に』
私が好きなあなたがいなくなっても
あなたが好きな私がいなくなっても
きっと、きっと大丈夫。
雨が好き、とスカートを揺らすあなたに
優しく傘をさして下さる誰かがいて
幸せそうに一緒に笑い合えているのなら
それ以上の幸せは私には必要ない
1/2/2025, 1:46:58 PM
『今年の抱負』
過剰な程息切れしたストーブは薬缶を上気させる
止まらない震えを隠すように欠伸を一つした
頭の中を引っ掻き回す心臓の音だけが耳障りで
目の奥の粘つく痛みを取り出すように涙を零す
望まれるまま口に含みそのまま飲み込むまで
甘すぎた何かだけは私をここに引き止めている
私もいつか甘ったるいまま死んでみたい
吐き出されないほどの苦さを生きていたい
12/28/2024, 2:33:12 PM
『冬休み』
雪も知らない街に
波が尽きない海に
夜を知らない灯に
ぽつん、と
私は忘れられたまま
かけ違えたボタンを外すように
滲んだ不正解を白く丸つけて
解けた靴ひもを結び直すように
黒板を薄い教科書で引っ掻く
きっとこのまま
ずっとこのまま
冬が終わってしまう
12/27/2024, 12:51:49 PM
『手ぶくろ』
あなたの指の細さが
あなたの手の大きさが
あなたの手の柔らかさが
たまらなくあたたかくて
私を撫でるあなたの全てを
包み隠して仕舞いたかった
あなたの指輪に憧れていた
ただ、ただ憧れていたのだ
12/26/2024, 1:34:40 PM
『変わらないものはない』
絆創膏だらけの部屋と汚いカーテン
埃を被った何かの箱と破いた袋
いつか当たり前になるのだろうか
錆び付いた蛇口と動かない秒針
甘い匂いの残る植木鉢
いつから当たり前になっていたのだろうか
あの花瓶に罅が入る瞬間
あなたはなぜか泣いていた
造花で溢れたこんなものでさえ
いつか当たり前になるはずだったのだろうか