淡時間

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12/15/2024, 4:59:21 PM

『雪を待つ』

夢を見る

あかぎれだらけの薬指

氷の張ったドブ川と厚い雲

放置された長靴と割れたバケツ


まだ夢に見る

売れ残った花火と笑い声

少し高いあなたの体温

甘くて消えてしまいそうな香水


明るくなっていく世界で1人

私はまだ眠った振りを続けている

12/12/2024, 2:54:25 PM

『心と心』

つまらない音楽とゆっくり歩く

あなたの歩幅となら踊りたくなったのに


あの文字を読み上げてみる

甘えるのと依存の違いってなんだろう


追い抜かす救急車と強い風

私は今どんな顔をしたらいいのだろう

12/9/2024, 3:36:16 PM

『手を繋いで』

何でもしまい込むあなたのポケットには

悪い癖と一緒に寂しさも入っていて

生温い街路灯と朝を待つ花の匂いが

冷えきった私には丁度良かった


あなたの袖を摘んだのは

歩行者信号が点滅してたからで、

あなたの目が見れないのは

使い捨てのコンタクトが乾いたからで、

あなたの影が近いのは

手袋を忘れてしまったから

12/8/2024, 5:32:02 PM

『ありがとう、ごめんね』

減りの早いごめんねの回数券

あなたと会う度に空気を吹き込むお財布

減りの遅いありがとうの回数券

郵便受けにたまってるあなたの口癖

ここじゃないどこかへ行く為の降車ボタン


めいっぱい息を吸い込む

貝殻に靴を揃えてみる

私は海に攫われたかったのだ。

12/7/2024, 1:02:49 PM

『部屋の片隅で』

無理やり開けた窓に腰掛ける

あなたと過ごしたやけに狭い部屋


あの時、あなたに渡した私の大事は

崩れたら大変な隅っこのものではなかった


いつか落とした花瓶と床の傷に

私を笑うように揺れる埃が寄り添っていた

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