『私の日記帳』
紙切れ。白。
鉛筆。黒。
滲んだ気持ち。浮いた気持ち。褪せない気持ち。
私が愛していた日々。
あなたを愛していた日々。
楽しかった? わからないけどね。
嬉しかった? 知りたくないけどね。
愛おしかった? 思い出したくないけどね。
これは、日記帳というにはあまりに簡素。
あなたが開けることはない。
あなたに限って知ることはない。
わたしの、きもちの、しゅうちゃく。
『向かい合わせ』
あなたがいる方を、正しいと思ってた。
あなたが見る方を、見たいと思ってた。
あなたと同じが良かった。
あなたと同じしか欲しくなかった。
これが、誠実。向かい合わせ。
そう信じてた。
ううん。私も正しいの。
うん。あなたも正しいの。
ううん。私は間違ってないの。
うん。あなたも間違ってないの。
前を、向こう。
次を、見よう。
寄り道せず、またおいで。
余所見せず、また会おう。
泣いたことは忘れていいんだよ。
笑って。笑っていて。
背中の、向かい合わせ。
『やるせない気持ち』
覚める、朝の5時。
焦げる、かたい食パン。
避ける、何回も同じ方。
折れる、またこの鉛筆。
割れる、気に入ってたグラス。
遅れる、早く帰りたい電車。
切れる、充電したはずのイヤホン。
まわる、昨日と同じ今日。
まわる、今日と同じ明日。
覚める、朝の5時。
結果が、全て。
物事は、失敗と成功にしか分かれない。
結果は、現在地から目的地への指標にすぎない。
人の想いも、努力も、時間も、人生も、
泡のように儚く消える。
失敗を悲しむ時間も、成功を喜ぶ時間も、
生の維持には、関係しない。
枝分かれしたものの、感情の、
剪定を、選択を、し続ける。
苦しい。苦しい。苦しい。
無駄にできない。無駄にしない。
飛ぶことを諦めた鳥に、用は無い。
己が己であるための、主張を。
考えろ。考えろ。考えろ。
『鳥のように』
太陽に別れを告げた。
今日も目覚ましはかけない。
月に口付けした。
朝なんて来なければいい。
空が回る。
ああ、あくびがでる。
光も許さないこの扉に、傘ひとつ。
あなたが目を覚ますまでは、この空は私だけのもの。
『目が覚めるまでに』