【胸の鼓動】
「俺、お前のこと好きかも」
そう伝えてきたのは昔からの幼馴染だった。
バンドを正式に始めて売れ始めた頃、
一緒の楽屋で自主練中に急に伝えてきた。
でも、幼馴染は続けて言う。
「もし良かったら僕と…」
とっくに自分の顔は赤く、胸の鼓動も今はうるさく
耳障りに思えた。
【鳥のように】
友達からいじめを受けているわけではない。
親からも虐待されてるわけでもない。
平和に、幸せに暮らせているはずなのに
なんでか、この世界から消えたくなる。
人のことを気にしすぎて、1人で勝手に疲れて
1人で勝手に泣いて、1人で勝手に自分を痛めつけてる。
自分たちも、いつかは鳥のように解放される。
狭くて小さい檻の中から、解放されるんだ。
毎日コツコツと、自分を人一倍褒めて
頑張らないで、テキトーにやり過ごすことが大事。
【夜の海】
最近、疲れが溜まってきているようだ。
だから、僕は同じバンドメンバーを連れて
2人で夜の海に行った。
真夜中にも関わらず、少し眠たそうにして
君は愚痴を言っている。でも、その愚痴ですら
愛おしく思えた。海に到着して、車を降りる。
すると、潮の匂いが鼻を刺激した。
今夜は、満月で1人寂しく輝いている。
「綺麗」と呟いた僕と君は、靴を脱いで
海で遊ぶ。ひんやりとしていた。冷たかった。
僕は、君の手を取って君の腰をこっちに寄せる。
赤く染まる君の頬に、優しくそっとキスを落とす_。
次の曲は、同性恋愛者…だなんてどうだろうか。
【病室】
僕は、みんなから愛されて、親からも愛されて
でも、なんか居づらくなって、精神が狂った。
親に精神病院に連れられ、案内された病室。
そこには、僕よりも年下の少女がいた。
女の子は、家庭が崩壊して精神が狂ったらしい。
『ゴホッゴホッ…ゔ…はッはぁッ…』
女の子は、薬の効果がなくなると過呼吸になるらしい。
でも、苦しそうにする女の子になぜか僕は
興奮した。
精神病院を退院した後、僕は人を殺した。
さぁ、貴方にはこの謎が解けますか?
【明日、もし晴れたら】
「うん、綺麗」
自分の後に続いて君が言う。
今日は、雨が降っていた。激しく降る雨に
彼女は少し怯えて、僕の元に寄ってくる。
『少しだけ…』と言う彼女。
雨が止んで、空もすっかり晴れて青空が見えたとき
虹がかかっているのを見かけた。
自分は言う。
「明日、もし晴れたら一緒にデートしよう」
彼女からの返事はなかった。
だが、彼女は頬を赤く染め、ただ黙っていた。
いつになったら、同性恋愛を許してくれるのかな。