木枯らしよ今日も落ち葉を掃いてくれてありがとう。
猫だって たそがれたい時があるのよ。
まあるい小さな背中から
そう聞こえた気がした。
別れ際にあなた
またね、って言ったのに
あれから何年たったかしら
夜明け前は、、、。
夜明け前に、、、。
夜明け前だ、、、。
まったく浮かばない。
何を書こうかなぁ
窓の外はもう、夜明け前
好きな本と言われたら、これ!とは浮かばない。
でも私は本屋さんが大好きだ。
本屋は子どものころ、どこにも連れて行ってくれない本好きの父が唯一連れて行って
くれる場所だった。
無口な父が唯一言う、
「本屋行くか?」
私はその言葉がひそかに待ち遠しかった。
私には姉がいる。
引っ込み思案な私は父との間に誰かいないと話すことも恥ずかしくて、隠れるような子供だった。
だから姉が一緒に行かないと聞いたら、ちょっとガッカリした。
だって、無口な父さん、引っ込み思案な私。
それは気まずい。親子なのに、なんなんだこの緊張感は。
それでも勇気を出して一人でついて行く事もあった。
父はいつも一冊だけ本を買ってくれる。
当時小学生だった私は、分厚い少女漫画雑誌が欲しかった。
でも、なんか恥ずかしくて、買うのをやめた。
理由はそんな本読むの?と思われたくなかったから。
引っ込み思案のくせしてプライドだけは大したもんだ。
その日は何か適当な本を買ってもらったんだろう
全然覚えてない。
また別の日、私は本屋に連れて来てもらっていた。
今度こそ勇気を出して本当に欲しい本を一冊!
その時選んだのは音楽雑誌だった。
選んだ理由は最近好きになったミュージシャンが載っていたから。
初めての音楽雑誌。
どうしよう。
どうしても、どうしても、欲しい!
手に汗握る思いで、父に渡した。
「本当にこの本でいいのか?」
無口な父が言った。
私は「うん。」と一言だけ返した。
やった!買ってもらえる!
心がざわざわした。
引っ込み事案の私が勇気を振り絞った瞬間だった。
今思えばくだらい。
くだらなすぎる思い出だけど、
あの本は忘れられない。
ある意味、あの本は好きな一冊にあたるのかもしれない。
そんなこんなでまだ他にも思い出が多い本屋さん。
今もつい入り浸ってしまう。
あの印刷の香り、クロスな床、昔はストーブなんかもあったりした。
最近はすっかり減ってしまった。これも時代なのだろうか。
少し寂しい。
ところで本好きな父よ!
父さんの好きな本は?なんて聞いたことなかったな。
今度聞いてみようか。