【ないものねだり】
ないものねだり、挙げたらキリがないね。
頭がよかったら、容姿が優れていたら、運動神経がよかったら、お金持ちなら、優れた特技があったなら⋯⋯
あの子みたいに愛嬌があれば、話術が出来たら、ファッションセンスがあれば、健康ならば⋯⋯
人によって求めているものは違う。
だけど、生きてきた中で何度も思う事、ないものねだり。
きっと、これからもあるだろう。
【好きじゃないのに】
今日は送別会。
会社を辞めるのは私だ。
新しいステップを踏む為に慣れ親しんだ仕事を辞める。
それは勇気のいる事。
嫌いで辞めるわけじゃない。
寧ろ居心地の良い職場環境が好きだ。
私は誘われ向かった先は多国籍料理店。
嫌な予感しかない。
取り敢えず店内に入り席に案内される。
そこには待ってましたと言わんばかりの職場の皆が私を歓迎しくれる。
コースで頼んでいるらしく、飲み物を頼み終えると料理が運ばれてくる。
飲み物が揃ったところで主任から挨拶があり、私も一言述べる。
それが終わると早速料理を食べるが…
やはり、嫌な予感が的中。
私が苦手な香辛料や薬味がふんだんに使われた料理たち。
前の飲み会の時に話したはずなんだけどね。
好きじゃないんだよ。
だけどね、大人だから我慢して食べるよ。
雰囲気を壊したくないものね。
大丈夫。
大人になって、社会人になって、成長したんだよ。
好きじゃなくてもね、顔に出さずに食べれる術を…
【ところにより雨】
3月の終わり。
今日は晴天で雲一つない空。
季節は春で桜が満開に咲いている。
人々は花見をしに公園へ来ている。
家族連れ、恋人達、友達同士に会社の集まり。
楽しそうに笑顔に溢れている。
その人達の幸せそうな顔を見ると、こちらまで幸せになる。
本当はこの桜満開の公園に足を運ぶつもりは無かった。
今日はようやく最終面接までいった会社からの合否の連絡が入る日で、本当は家で待っているつもりだった。
けれど、じっとしていられずに外に出てきたのだ。
近くの神社で桜を見ながら静かに待っていた。
小さな神社なので人も少なく、心が落ち着く。
スマホの振動ではっと現実に引き戻されディスプレイに表示されるのは件の会社からだ。
一息つき電話に出る。
風が吹き花びらが舞う。
その光景を見た後静かに目を閉じ、お礼を伝え電話を切る。
小さい神社を後にして目的もなく歩き着いた先が冒頭の公園だ。
人々の喧騒が心地良く聞こえる。
空は晴天。
私の心の中は雨だ。
静かに、静かに雨が降っている。
【特別な存在】
皆さんは特別な存在っていますか?
特別な存在がいるならば、とても幸せで楽しいと笑顔が溢れる事だろう。
パートナー、家族、犬やネコ⋯⋯
人それぞれだろう。
だが、誰しも特別な存在がいるわけではないと、そう思う人もいるだろう。
だけどね、特別な存在がいない事は、それこそが特別なのだ。
特別な存在がいない事が特別。
何故ならば、あなたが存在しているから⋯⋯
自分自身が特別なんだよ。
精一杯毎日を生きている事が特別。
誰もいないんじゃない。
自分が特別なんだと胸を張ろう。
そして頑張って生きる自分へご褒美をあげよう。
皆が特別な存在なんだよ。
【バカみたい】
バカみたい⋯⋯。
そう思う事って沢山ある。
それは友達を信じて裏切られた時。
恋人と別れて、だけどまだ連絡来るかもと淡い期待が打ち砕かれた時。
給料以上の仕事をしている時等。
ふと我に返ると、「バカみたい⋯⋯」
そう虚しくなる。
きっとこれからも多く思う事だろう。