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2/28/2025, 4:52:59 PM

古くなった炊飯器を捨てるとき、なぜか悲しくて仕方なかった。二十年も使っていたから愛着があるのはおかしくない。でもずっと使っていても平気で廃棄できる家電もあるのに。エアコンとか。

ずっとこの炊飯器からほかほかご飯をよそって食べていたんだ。家庭の平和の象徴のようだ。
私は炊飯器のことを餌をくれる親鳥のように思っていたのかもしれない。

新しく買った炊飯器のご飯は美味しかった。さすが新型。
でもあの日のぬくもりは忘れないよ。

2/26/2025, 8:14:25 AM

「さぁ冒険だ」というお題を考えている時間は楽しい
対人トラブルでドロドロと濁る日々から心が浮上する

幼いころ遠い山の向こうには何があるんだろうと夢見ていた
雪を頂く峰は神秘的で
あの向こうには私の知らない世界があると思った

ここと同じ普通の町があるのだと知った今でも
きっとどこかに
さぁ冒険だ!世界の神秘を探しに行こう

4/24/2024, 12:52:27 PM

ルール 

4/21/2024, 1:41:35 PM

ドッペルゲンガー


他人の目のないところでは、いやあってもこっそりと、彼女がやたらと身体に触ってくるので困っている。しかもセクハラ親父かよと思うようないやらしい触り方で、尻とか胸とか脚とか腹とか触ってくる。
付き合う前はむしろ冷淡に見えていたのでこういう人だったのかと驚いた。
誘っているのかと思ってこっちからも触り返すとちょっとびっくりしたような反応をされたりする。
ただ純粋に一方的に触りたい欲求があるようなのだ。

「黙って急に触ってくるのびっくりするんだけど、あれはどういう気持ちなの」
「付き合ってるんだしいいじゃん。触りたくなっちゃうんだよ。理由なんかないよ」
性欲なのか?
しかし観察していると彼女は常に周囲の何かしらに触っている。階段の手すりとか壁とか家具とかそういうものにだ。
周囲のものに触っていたい欲求が彼女には元々あって、セクハラじみた接触はその強化版なのかもしれない。
スキンシップによって心の欠落を埋めているようにも思えて、ちょっと不快なときも我慢して触られていた。

その対応がまずかったのかもしれない。
彼女の欲求はだんだんエスカレートして、触るだけでは済まず噛んでくるようになった。
例えば通りを歩いているとき、ちょっときて、と腕を掴まれ暗い路地に連れ込まれる。
しゃがんで。キスするようだがそうではない。彼女は俺を抱きすくめて肩に顔を埋めた。少しずつ力を込めて、血が出る寸前くらいまで噛んでくる。痛い。かなり痛い。
「なんで触るのって前聞かれたでしょ。あれから考えてみたんだけど」
噛み跡にキスして首元で幸せそうに息を吐く。
「触らないとあなたも私も本当にここにいるのかわからないから。こうすることであなたと私の存在がはっきりして安心する」

彼女の肩越しに、さっきまでいた明るい表通りからこっちを見ている女性が見えた。
顔も髪型も背格好も服装も、どう見ても彼女だ。
「あれ、双子のお姉さんか妹さんっていた?」
彼女はそっちを見ない。
「兄弟なんていないよ。もしかして私とそっくりな人が見えているなら、それはドッペルゲンガー。子供の頃から時々出現するんだ。でも私以外の人にも見えるとは思わなかったな。」
目が合っているのにまるで知らない人を見るような表情をした表通りの彼女は視線をそらして歩き去った。
俺は抱きついている彼女を振りほどいて大通りの彼女を追いたいと一瞬思った。あっちが本当の彼女でこっちがドッペルゲンガーのような気がしたから。
しかし俺を知っている彼女がドッペルゲンガーで、本体は俺のことを知らないとしたら。本体と話して戻ってきたとき、ドッペルゲンガーの彼女はまだここにいるのだろうか?
そう思うと暗い路地で彼女に抱かれたまま動けない。


4/16/2024, 9:32:56 AM

届かぬ想い


勘違いでも思い込みでも狂気でもいいから
届くかもしれないと思うことがまず難しい

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