『ハッピーエンド』
オレ 猫
名前は…
オレを拾った小さな人間が
「ニャーさん」と呼んでいる
以前は…
母ちゃんと兄弟と一緒にいた
ある日
母ちゃんが兄弟たちを
くわえてどこかに行った
「すぐに迎えに来るからね」
母ちゃんはそう言っていたけど…
二度と戻って来なかった
代わりに来たのは
小さな人間
オレが腹をすかせて
あまりにも大きな声で
ニャーニャーと
鳴き叫ぶ声を聞いて
かわいそうに思ったのか
汚れて寒さに震えているオレを
自分の家に連れて帰った
温かいベッドは独り占め
美味しいご飯は横取りされない
こういうのを快適と言うのか
小さな人間は女の子と言うらしい
オレはここで人生いや猫生を
送ることにした
幸せな結末と言えるかどうかわからないが
とりあえず今は
人間たちに可愛がられ
幸せに暮らしている
これまでの猫生を語れば
まぁ ハッピーエンドと言えるかもな
『見つめられると』
私を見張っている
意地悪で優越感に満ちた瞳
見つめられると
背筋がゾクゾクし
心まで凍りつく
何もかも見すかしたような
薄情で下世話な視線
上から目線で
私を支配しようとする
あなたに
従わなくてはいけない
理由がわからない
あなたが言う
常識だとか社会のルールとか
世間体なんてものに
縛られて
死にたくなったのです…
お願いだから
四角四面の枠の中に
私を閉じ込めないで下さい
はてしなくたえず流れていく
川のように
はてしなく広がる
大空を流れゆく雲のように
風のように
野に咲く花のように
空を飛ぶ 鳥や虫のように
そんな風に生きていたいのです…
『My Heart』
ワクワクしたり
ドキドキしたり
ソワソワしたり
ガサガサしたり
トゲトゲしたり
イライラしたり
ジグザグしたり
シクシクしたり
誰かの一言に
一喜一憂したり
ショボくれて
殻に閉じこもったり
毎日が忙しい
毎日いろんな色に変化する
そして…
私という人間が作られていく…
『ないものねだり』
窓の外から聞こえる
子供たちの元気な声
無邪気に走り回る姿
生まれつき病室しか知らない僕には
体験することは許されない
友達は点滴に同じ病室の入院患者
将来の夢は
野球選手にサッカー選手
なんて言ってみたかったな
車イスでしか移動できないんじゃ
無理だけど…
子供らしく
外で元気に走り回る
みんなと一緒に学校に行く
そんなみんなが当たり前みたいに
やってることがうらやましくて
やってみたいと思うのは
ないものねだりって言うのかな?
『好きじゃないのに』
本当最悪だわ
せっかくのフルコースも
まったく味がしないし
高級ワインがぶ飲みしても
まったく酔えない
あなたのこと好きじゃないのに
なんで誘いに乗ったのかしら?
仕事でトラブったり
恋人との不仲だったり
最近何かとスランプで
ちょっと気分転換したかった
たまたま あなたが誘うから
ヒマつぶしくらいで付き合っただけ
なのにテンション高く
嬉しそうにしゃべってるから
罪悪感でテンション下がる
気まずい時間に 窒息しそう
好きじゃないのにってオーラ
あなたは気づいているかしら?
わざと気づかないふりしてる?
もう終わりにしようか猿芝居
どうせ進展する訳ないし
ごめんね
やっぱりあなたじゃ役不足