『冬休み』
妄想 想像 現実逃避
人間も冬眠できればいいのに…
コタツにもぐり込んで亀になる
しんしんと降る雪
しずまりかえった部屋の中
ひとり春待つ冬休み
『手ぶくろ』
寒さでかじかむ手に
ハァ~っと息を吹き掛けながら
キミを待つ
いつものバス停
「なんでいつも手袋忘れてくるの?」
キミは 呆れたような顔で笑いながら
自分の手袋を片方外して渡してくれる
忘れてないよ
本当はカバンの中にある
片方づつの手袋
はめてない方の手をつなぐ
こうして毎日
キミの体温を感じる
幸せな時間を手に入れるため
僕は冬になると
小さな嘘をつく
キミも本当は
気づいているんじゃない?
『変わらないものはない』
僕は ずるい!
僕は 卑怯者!
僕は 愚か者!
僕は 嘘つき!
僕は 姑息!
僕は 薄情!
僕は 意地悪!
僕は 社会のお荷物!
僕は 失敗作!
不都合な優越感を満たすためだけに
しょうこりもなく
破れかぶれで生きている
僕がこの世から居なくなっても
世の中は何も変わらない
僕が
なんとかかんとか
どうにかこうにか
ギリギリ底辺で
頑張って生きてても
社会から見捨てられ
誰からも認めてもらえず
変わらないものがないなら
僕が生きている意味って
何なんだろう?
『クリスマスの過ごし方』
持っているのも捨てるのも
こんなにつらい
私の気持ちは
捨て場の迷子
捨てるタイミングを失って
しばらくは また
ふんぎりがつかない
初めは魅力的に感じて
手にしたものを
出番がなくなってからも
しつこく持ち続けていたら
美しさを失ってしまう
それでも
いざ手放すとなるとためらいが…
あなたからもらった
クリスマスプレゼント
「物には罪はないからねぇ~」
また元に戻す
今年も
あなたに渡そうと
悩んで買ったプレゼント
渡せる関係には戻れないのに…
なんで買ったんだろう…
彼女と二人で過ごすクリスマス
あの頃
私にだけ見せてくれた笑顔を
今 彼女に見せてるの?
渡せないままのプレゼントを前にして
私はひとりで メリークリスマス
あなたに幸あれ
私にも幸あれ
と祈りながら…
『イブの夜』
真っ白な雪
イルミネーション
立ち止まる人
行き交う人
ツリーをバックに記念撮影
プレゼントにケーキ
暖かい部屋で待つ大切な人
私には無縁な世界の話
だって私 日本人だし…
だって私 キリスト教徒じゃないし…
だって私 クリスマスなんて興味ないし…
なんて…
自分に言い訳しながら…
ちゃっかりケーキなんて買っちゃって
チキンやワインなんかも買っちゃって
ぼっちで過ごす イブの夜…