まさにこれだ。
あと何年経ったら思い出すこともなくなるんだろう。
5年後? いや、そんなもんじゃない。
10年後? もしかしたら。
20年後? 思い出せなくなってるかも。
30年後? 無意識に口走ってるかも。
その時は、ごめんなさい。
「甘い甘い思い出だけに支配され
惚けた世界は幸せなのか」
〜脳裏〜
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私の頭の中には貴方がいる
どこにも行かせやしない
時々取り出して舐めて砕いてまた戻す
味がしなくなるまで形がなくなるまで
「君の名を検索窓に打ち込んで
安否確認習慣になる」
別れて5年以上経ったというのに、今でも事あるごとに想ってしまう。
諸事情があってもう触れることは出来ないけれど、元気だろうかと気にしてしまう。
氏名を入力すれば何らかの記事がヒットする。
時には顔写真も出てきて、懐かしいような見てはいけないような複雑な気持ちになる。
いつまでこんなことをやっているんだろう。
恋しい気持ちだけは早く消したい。
〜意味がないこと〜
〜あなたとわたし〜
ねぇ、いったい私たちの関係って何だと思う?
ずっと聞きたくて、とうとう言い出せなかったことだ。
悶々と過ごしたまま、でもあなたといると心地よすぎて、最後には関係を表す言葉なんてどうでも良くなっていった。
信じたかったからね。
「都合のいい生き物同士抱き合って
敢えて問わない関係が好き」
〜柔らかい雨〜
夕立が上がった途端、西陽が差し始めた。
(あっ、チャンス)
夕飯の支度をしていた手を止め窓越しに、急いで東の空を探す。
目を凝らして端から端まで。
(あったー!)
大きな大きな弧を描いて、七色のそれは在った。
雨のいちばん降るここに移ってから、出現するタイミングが分かるようになった。
私にとって小さな特技である。
「雨上がり今だけ魅せる瞬きを
シェアしたくなる七色の虹」
〜一筋の光〜
あの頃の私にとってのあなたは、生きる意味を再び見出すことのできる一筋の光でした。
真っ暗などん底で、気づけば死に方を考えている様な毎日。
そんな中、あなたへ繋がるきっかけを手にした私。
やっと人らしく、そして女として血が通い始めることができたのも、あなたという存在を得たからでした。
「人らしく息できたのも泣けたのも
あなたに触れた後からでした」