北極星は、南の形を夢見た

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10/1/2024, 10:16:24 AM

#58「たそがれ」

風が、わたしの肩を叩く

ゆらりゆらり 秋がふるえて
わたしの失敗ばかり 笑っている

いまだに夏を 忘れられないから

太陽ばかり 目に染みて
ふうりんの余韻に 取り残されている

急に来る方が悪いのだ、と
言い訳ばかり わたしはいつも

もうすぐ、日が暮れる
ぬるい想い出に たそがれる

秋は 少しばかり冷たかった

9/28/2024, 1:26:51 PM

#56「別れ際に」

Good-bye 良い来世を
Happy Birthday 良い1日を

たくさんの手を振って
おはように さようなら

乳白色の夕暮れに 子供たち
手を紡ぎながら うたってる

「太陽は 天使なの?」
「黒いニキビがあるから 人間よ」

「太陽は 悪魔なの?」
「輝く十字架、背負った 醜い子」

海が彼を抱いて 溶けてゆく

そうして、楽園へ
私たちが祭り上げた 生け贄よ 

リンゴのように醜いの
なのにどうして 美しい

あぁ、わがまま言えないわ
私たち 許されないもの

たくさんの手を振って
さようならに おはよう

Good-bye 良い来世を
Happy Birthday 良い1日を

9/19/2024, 1:48:39 PM

#55「時よ止まれ」

わたしは、気がついた

時計を見ると、PM23:59

しまった、明日は猫の誕生日だった

まさか、こんなことで後悔するとは

この世に未練を残してしまった

止まった時間が、進んでくれればいいのに

なんてわがままを、願ってしまった

あぁ、誕生日は地獄で迎えなきゃな…

9/14/2024, 11:36:12 PM

#54「命が燃え尽きるまで」

こんにちは

わたし、あなたのおうちまで

はじめまして

わたし、あなたの口腔内に

さようなら

わたし、あなたの笑顔に恋をしました

また会いましょう

わたし、あなたに会いに行きます

命が燃え尽きるまで

そのためには、食べられたって構わない

9/13/2024, 10:47:40 AM

#53「夜明け前」

夜明け前に、コウノトリは雲を育てていた

太陽の誕生だ。
そうして目を細める僕らは

大きく揺らいだ夏を、見通していた

嗚呼、あと3ヶ月もたったら
身を縮めて「寒いな」なんて
嘆いているのだろう

夜明け前に、コウノトリは雲を連れてきた
今日はきっと、空がきれいだ

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