#23【君は今】
もうちょっと待っててくれって
言っただろ…
「ぐわッッ!」
目の前のソレは、咆哮をあげ突進してきた
俺は、避けきれずその攻撃をモロに受ける
「ここまでだな…」
泣く暇なんてないはずだ
けれど、罪悪感と共に、頬に伝う涙
「どうしてだよ、なぁ」
どうして、こんなことになった
『いってくるよ』
あの時、お前を止めれば良かった?
『やったよ…!僕、ついに戦える!』
…止めれるわけ、無いじゃないか
アイツの願い
苦労して、努力して、やっとつかんだ
その剣
それは今、無惨にもひび割れた姿で
俺の手に掴まれている
止められなかった、助けられなかった
なにも、出来なかったよ
反動で倒れたソレは、ゆっくり起き上がって
こちらに向かってきている
俺はうなだれ、目をつぶった
そのときだ
駆け巡るのは、走馬灯
アイツのくだらない顔
『俺が強くなるまで、待ってろ』
そう言ったら
『負け惜しみは良くねーぞー笑』って
「ちげーよ、バカ」
お前は弱いんだよ、心が
『僕がお前を守ってやるよ』
いっつも、泣いてるときは
俺に守られてばっかだったくせに
『心配するなよ~、すぐ帰ってくる』
バカ言うな、帰ってこなかっただろ、今日
あぁ、なんか、ムカついてきた
今からでもいいから、アイツに会いたい
アイツに会って一発殴ってやりたい
ソレは、もう一度
俺に最後の一発を食らわせようとしていた
潔く、くたばろうと思ってたのに
お前のせいで
『お前が怪物になっても、助けてやる』
「ふざけんな」
カンッッッ!
攻撃を弾く
起き上がり、ソレの懐に入り込む
入り込むとき
顔が近くになった
その顔は、アイツの顔
しかし、もうアイツではない
「その言葉、そっくりそのまま返してやる」
お前は、今
その暗い瞳の中
何を思っているんだろうな
俺は今、想っているよ
くだらなくて、ムカつく
最高の相棒のことを
#22【小さな命】
どれだけ大きな 夢を持っても
僕らは ほんの 小さい命
どれだけ大きく 見栄をはろうと
僕らは ほんの 小さい命
どれだけ大きな 命に住もうとも
僕らは ほんの 小さな命
どれだけ 大きな罪を犯しても
僕らは ほんの 小さな命
どれだけ どれだけ どれだけ、
どれだけ小さな命でも
僕らは きっと 大きな価値
#21【花束】
───────────────────────
あの日
忘れたくなくて 大切に残した花束は
色あせることなく 私の記憶と
一緒に残っているよ
───────────────────────
「皆様お忙しい中、ご参列頂き…」
親戚とかの前で、花束を持ったのは
たぶんあのときで最後だね
「俺、この花が好きなんだよな」
そう言って、勿忘草を指さした君
何でって聞いたら
「…おまえに、似ててかわいいから」って
分かりやすく顔が、真っ赤
だからウェディングの時、迷わずこの花にした
「真実の愛」
ロマンチックな花を選ぶわねって、母に言われたよ
真実の愛を誓った、ずっとはなれないと誓った
あの日
…なのに、なんでだろ
家に帰る
ただいまも、言わない
私と部屋は、もぬけの殻
ふと、どうしてか手に持っている花束を
水の入った花瓶に入れる
それは、
勿忘草のドライフラワー
あの頃には戻らないと
分かっていても
もう一度戻れないかな
なんて
わがまま、だろうか
「私は故人〇〇の妻です」
#18 【ミッドナイト】
midnight
薄オレンジの湯気に 憂鬱の影
お湯で満たしたハコに
どっぷり溺れて ダンスホール
midnight
ブラックホールに漬け込んで
ひとつの輝きに 目を奪われていよう
蜃気楼を受信 idolを許容
midnight
もうすぐ消えゆく煙を
私であった なにかは揺らいでいた
それはもう、過去の事?
新しく生まれ変わる
「who are you 」
midnight
17【逆光】
逆光に うつる
ほくそ笑みかける おまえの顔
おーえ
勝ったとでも言いたげか
みじめだな
本当に
脚光を 背に
痛みつける おまえの拳
おーう
復讐心か
すばらしいな
本当に
透過光 うつすは
幼稚さながら おまえの心
おーや
以外とピュアか
痛みを知らない子供だな
本当に
逆行へ 向かう道
気付かずに おまえは歩く
おーい
大丈夫なのか
そこ
地獄だぞ
本当に