#3【色とりどり】
一つの球体に色を散らす
色ひとつでは、物足りない
けれど、全て混ぜることが美しいわけではない
色の反発から生まれるものは、黒ではない
空虚に押し込まれた色なのだ
色が交わり、調和し、互いをきわだてること
それはまるで、科学から生まれた
フィクションのようなノンフィクションのように
化学反応が起きて、芸術が生まれて、
色は散る。
それは、美しいもの
#2 【君と一緒に】
君は、私がはじめてつくったお友達。
笑ってるときも、泣いてるときも、
君と一緒
いつも無口で笑顔を崩さない君だけど、
悲しいときでも、楽しいときでも、
ただじっと、ゆっくりと、私のそばにいてくれる。
決して否定しないところが、君の優しいところ。
いつだって君と一緒
君の匂いは、私の好きなジャスミンの匂い。
その匂いで包み込まれると、
嫌いな上司のことだって忘れられる。
好きなものまで「あなたと一緒」
はじめて行ったお出かけの場所は、今でもちゃんと
スマホのカメラと、私の記憶に残っている。
回る観覧車、君の小さい影、夕日に照らされた
君の笑顔。そのどれもが、いとおしい。
どこにいっても君と一緒
今日も明日も来年も、君と一緒
愛おしくて、かっこよくて、不完全で、完璧で。
君は、私がはじめて「作った」お友達。
これからも、君と一緒に
#1【冬晴れ】
冬は晴れの日が多いと聞くが、それはきっと嘘だ。
最近は、木枯らしが吹きすさんでいる。
空も、ニュースも、心も。
どれも明るいものではない。
そう見えてしまうのは、運動不足のせいだろうか?
…そとに出かけよう。
そうすればきっと、少しは心が澄むはずだ。
2時半、なんとも言えない時間に、
のっそりと起き上がってスマホを手にとる。
ガチャ、ガチャリ。
一瞬、寒いのが億劫になって、
そとに出るのを躊躇するのだが、
踏ん張って足を踏み出し、寒さに身構えたのも
束の間、太陽が自分を包み込んだ。
あれ、あったかいな。
目を開ける。すると、真っ青な空に、
白い羽を広げたような曇が広がっていた。
すき間から漏れ出る日の光が、目に優しく滲む。
ほーっと息が漏れた。
美しくて、呆気にとられてしまう。
心のモヤモヤを忘れてしまうほどに。
気づけば思わず、「パシャリ」と撮っていた。
教えてあげたい、と思ったから。
この世界の誰かに。
今、心の木枯らしが吹く誰かに。
ねぇ、これ見て。
「冬晴れ」だよ。