5/3/2026, 1:47:53 PM
【二人だけの秘密】
入社したときから、ずっと好きだった。
所謂ひとめぼれ。
真面目に仕事をする様子に、
その気持ちはどんどん大きくなった。
先輩が面倒を見ている後輩が、
いつもギリギリでノルマ達成するのが面白くなかった。
月初の営業成績発表時のドヤ顔。
若さだけが取り柄の2年目の女。
ある晩、見てしまった。偽りの申込書。
先輩は真面目だ。そして、優しい。
思わず頭に血が昇り、物音を立ててしまった。
先輩に気づかれた。
先輩がこちらを見る。怯えた目。
いつもは心地よい甘い声が、
今のあたしには届かない。
「先輩」
あたしは、先輩の目を見つめる。
覚悟を決めた。
「二人だけの秘密にしたいです」
5/2/2026, 1:47:10 PM
【優しさだけで、きっと】
ぬいぐるみキーホルダーを落とした。
来た道をなぞって歩く。
横断歩道の手前
車止めの上に、その子はいた。
ちょこんと鎮座するぬいぐるみ。
目立つように、踏まれないように、
引かれないように。
家に帰り、洗濯をした。
石けんと陽だまりの香りが包み込む。
5/1/2026, 12:09:49 PM
【カラフル】
マーブルチョコを、そっと取り出す。
違う色が出ますように。
筒の中のかわいいを守り抜く。
また、一粒。思い切って、三粒。
4/30/2026, 11:47:32 AM
【楽園】
何不自由のない暮らしのはずだった。
好きなだけ使える時間とお金。
私の趣味嗜好通りの家。
自慢の家族たち。
それなのに、満たされない。
右手に収まる小さな外界。
赤の他人に向けられる賞賛。
そんな虚像に、私の世界が乱される。
足りないところを探す。
十分揃えたはずなのに。
4/29/2026, 1:58:53 PM
【風に乗って】
土曜日の 陽だまり香る 下り坂
籠の林檎と ピアスがゆらり