お題:「幸せとは」
「なんで私にスズランエリカなんて贈ってきたんだろう…。」
満開に咲いた、窓際の植木鉢のスズランエリカを見ながら、私は呟いた。
私にこの花を贈ってきた彼は、私を置いて突然私の前から去っていった。
「嘘つき…。私を置いてどこかに行くことは無いって言ったのに。あれから3年も君はなんの連絡も無いしもう私の事なんて忘れてるんだろうな。」
彼のことを、嘘つきだ。最低だ。と思っているのに、心の奥底では彼のことをずっと忘れられなくていつも頭の片隅には、私に笑いかけてくれている君がいる。
「こんな未練がましくて、君のこと嘘つきだ。なんだと言う私に、こんなに可愛い花は似合わないよ…。」
私はふとスズランエリカの花言葉が気になり調べていると、「幸せな愛」と言う意味もあるのだと知った。
「幸せな愛…。幸せか。君にとっての幸せって何なんだろう。もしかしたら、私が君のことで悩んでる今が君にとっての幸せなのかな。だとしたら、それはそれで良いや。君が幸せな事が私にとっての幸せだから。」
そんな事を言いながら、月を見ていると窓の外から低音の綺麗な低い声が聞こえてきた。
「僕が、そんな酷い事を自分の幸せにする訳ないじゃん。」
その喋り方はとても懐かしくて、とても暖かかった。
「なんで…?え?」
私が困惑していると、その声の主は近付いてきて話し始めた。
「ごめんね。3年も君を1人にして。本当は全部投げ捨てて君の所に帰ってきたかったんだけどそうも言ってられなくってさ。」
君に聞きたいことが沢山あるのに、言葉が上手く出てこなかった。
「君にその花を贈ったのはね。君が僕に幸せを届けてくれたからなんだよ。ほら、その花って鈴みたいでしょ?鈴って幸福を呼んでくれそうなイメージがあるからさ!それに白くて可愛らしいところが君にピッタリだなって。」
そこまで言って君は、少し泣きそうな表情をした。
(なんで、そんな顔するの?君は何も悪いことなんてしてないのに…。)
「ねぇ、スズランエリカの花言葉を調べたなら知ってると思うんだけどさ…。幸せな愛って意味もあるんだって。君を悲しませた僕が、こんな事言う資格無いんだろうけど、僕は君の事が今でも好きなんだ。だから、これから二人で幸せな愛を育んで行きませんか。」
そう言った彼は、今にも泣き出してしまいそうな表情で声も震えていたけど、私の事を見る目は昔と変わらずとても優しくて暖かかった。
「私の幸せは、君が幸せならそれでいいと思ってた。だから、このまま思いを伝えられなくてもいいやって思って自分の心に蓋をしてきたのに…どうして、今更私に優しくするの。」
私は、上手く言葉が出てこず、涙が溢れそうなのを堪えて必死に言葉を並べて話した。
「ごめん。そうだよね…。今更だった。」
そう言った彼は、ずっと私の目を見ていた。
「今日はちゃんと自分の気持ちを伝えたかったのと謝りたくて来たんだ。ごめんね。約束守れなくて…。」
そう言って立ち去ろうとする君に私は、
「許さない。私と、これから幸せな愛を育んでくれなきゃ…。」と返した。
「いいの?僕は君に酷いことをしたんだよ?」
君は、少し驚いた表情をして立ち止まった。
「正直、幸せってなんだろうって思ってた。君と出会うまでは。でも、君と出会って幸せってこういうことなんだろうなって感じ始めた時に君が居なくなったから、私にとっての幸せとは…?ってなったよ。」
そこまで言って私は少し考えた。
「今も幸せとは…?ってなってるけど、2人にとっての幸せなら見つけられるんじゃないかなって思ってる。だから…これからもよろしくね。」
私がそう言うと君は、少し笑いながら
「君は優しすぎるし、言葉が上手くまとまらないのも相変わらずだね。」と言った。
「でも…。ありがとう。僕を受け入れてくれて。今度こそ、そのスズランエリカのように可愛い君を置いていったりしないよ。」と言った君は耳まで真っ赤だったのを覚えている。
あれから1年経った今では私の隣には、しっかり君がいる。
(未だに幸せってなんだろうとはなるけど、それは人それぞれ違うことであり分からないからこそいいのかもしれない。)
私は、隣でうたた寝をしている彼を見ながらそう思った。
お題「時を結ぶリボン」
「いつもそのリボンだけど飽きないの?」
友達と課題をしていると、友達が私のリボンを指さしながら聞いてきた。
「飽きないよ?私このリボンの色が1番お気に入りなんだもの。」
私がそういうと友達は、
「それなら、いいんだけど。私はもう少し明るめの色が似合うと思うんだけどなぁ」といいながら、また課題に手を付け始めた。
(このリボンをくれた君の元へは、もう行けなくなってしまったけれど、君と過した時間はこのリボンがある限りずっと忘れない。)
「君と過した時間で結ばれているから…。」
「どうしたの?」
私がボソッと呟くと友達は首を傾げていたけれど私は、「なんでもないよ。」と少し笑ってから課題にまた手を付け始めた。