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雨がドキドキを与えた。風に下心を運ばせた。太陽を憎み、笑う日もあった。雨が降って喜んだ。風に運を託した。大雨が降った後、虹の傍で必死に汗を流した。
私は笑っていたが、何も知らなかった。
雨が心を落ち着かせる。風が人生のように見える。太陽がどこか哀しくみえる。雨が降る。風が吹く。太陽が照らす。大雨が降る。虹が描いてるのに気づく。
私は知っている。だから笑った。
―その青年は、誇りと諦めを目に宿している。
maru
姉の結婚披露宴を終え、せっかくなので、私は1人で異国情緒ある港町を微かに香らせる神戸を散策したかった。
先に神戸に訪れる際に、どうしても訪れたい所が4つあった。
・高校生の時に、友人と旅行し思い出の詰まった三ノ宮の街
・オープンキャンパスの為と称し、3日も私を宿泊させ遊ばせてくれた先輩の宿先付近。
・神戸の港と海
・キラキラとはしていないカフェ
この4つの中で、どこに訪れるかは披露宴が終えた後の感情に任せようと思った。
さて、結婚式が終わった。
結婚式の段取りが定まっていなかった事もあり、親族をバタバタと集めたり、楽しい思い出になったが、複雑な感情に振り回されそれなりに疲れた。披露宴が終わり、二次会は中止となっていたため、自分の部屋に着き次第、疲れ果て直ぐに寝た。翌朝、携帯を見ると兄からの電話があったが多分ホテル内での二次会の誘いだろう。
私は25歳で、彼女はいない。国の公僕になり、疲れ果て、海の中にでも落ちたら、そのまま沈んでいくような人間だ。過去の事情、純な心を自ら汚し、それらを背負うにはあまり私の肩は狭くきちっとしている。
そんな事情もあり、姉を亡くしたような喪失感にも何故か見舞われた私は、港を訪れることに決めた。なぜなら、モヤモヤすることがあれば海にいき眺めることでスッキリすることを知っているからだ。
ホテルから心の解放を求めるため、ひたすら走り向かった。港に着き、少し無茶をし、背丈よりあるコンクリートを登り、海を眺めた。
―あぁ、綺麗だ。
確かに綺麗だ…。
太陽も燦々と照らし、海は水平線遠くまで見える。
でも、何かが違う。そういった気持ちに取り憑かれた。なにか違和感があった。いつもなら嫌なことがあっても、海に訪れたモヤモヤを流せばスッキリした気持ちになるのに…。
長時間眺めても、スッキリしないのだ。
こうなったら、逆にもやもやする。
次に私は、カフェに行くことを決めた。
マップで近くのカフェを検索したところ、面白いように私の心情を表しているかのような屋号の喫茶があり、そこに訪れることに決めた。
そこは、2番街ゲートの地下2回にあり、途中に古本屋があったので、好みの本を三冊購入し、立ち寄った。
見つけるのに少し苦労したが、たどり着いた。
―ここだ。あぁ。ここだ。ここに間違いない。
私は直ぐに目の前にあるひっそりと隠れたように佇む喫茶店が、今、私が入る、入りたい、入らなければならない店だと思った。席を案内されている途中で、片手には本、もうひとつ空いた手には煙草を抱える20歳くらいの女性と目があった。
私は、帰りの新幹線やそこから車で帰り家に着く時までその人の光景が忘れられなかった。
強い目だった。
屋号は「どん底」
私は、どこか落ち着ける場所。しかし、1人でも自由に強く生き、人生ひっくり返したいというような刺激的な気持ちを欲していたのだと気づいた。
「紘」
凍えている。
流行り病のウイルスの症状がそうさせるのだろうか。
それとも自分の脳に強く叩く言の鋼のせいか。
あるいは、その代償か。
いづにしろ、内に秘める青い炎を絶えさせては、ならないのだ。
赤はいつも去る。どんと派手に切なく。
青はいつも在る。純に確かに自直に。
―私の健康とは、暗闇を進み続ける炎なのだ。
こう言えば、時代の焔を感じさせる。
が、それでもよいのだ。
散りゆく運命を終えた後にみえる景色とは如何程だろうか。触れるが優しくすり抜け、包み込むようにぬくもりを感じさせる。そのうよな炎を想像して眠るとしよう。
生き方は決めた。
帆を立てて、海からの南風に半生を描いた。
振り返るな。ありふれた日々。
違うありるえた日々にマスターピース