偶然を塗りたくった空の色だとしても
ありがたく思ってしまったり
恨めしい時もある。
12年前の撮影した写真
古いブラウン管テレビのモニター部分に
鏡のように反射して自分と友達が写っていた。
海で遊んでコテージを借りて、立ち話をしていた所だ。
12年あれば立場も変わる。住む場所だって
今日の鏡には、あの頃の友達も慣れ親しんだ場所も映らないが
今日向き合うべきものが写し出されている。
そう自分に言い聞かせて、写真をもとに戻した。
お盆に帰省して祖母に会ってきた。
祖母は今年で92歳になるが一人暮らしだ。
押入れに長年置いてあった段ボールを数十年ぶりに開封した。という話を
2日で8回ほど初めて話すテンションで聞かされた位には記憶力に陰りが見える。
本人はあまり乗り気ではないが、近い将来介護施設のお世話になることだろう。
そうなると祖母がいつまでも捨てられなかった物を家族の誰かが片付けなければならない事になる。
いつまでも捨てられない物も、いつかは捨てられる
思い入れも、価値ある物も、永遠に留まることなんで出来ない。
それはそれとして、今回の帰省時、亡くなった祖父が集めていた大量の古銭と記念硬貨をどうにか処分してほしいと祖母から依頼された。
調べたがコインショップやフリマサイトでもそれ程価値が上がっていない。しかもずっしりと重い。
私はこれをクローゼットに突っ込んで忘れてしまおうかと、ここ数日考えている。
捨てるには惜しいが、動かすのも面倒で...
昨日までを知っている誇らしさと
今日を生き延びたという自己肯定感の充足と
明日を体験できる優越感を持って
嘘みたいな未来へ進もうね
月明かりも届かない海の底
まだ名前の無い深海魚が
起き抜けに空腹を満たす。
誰に見つかることもなく、
何に邪魔されるでもなく、
ただ黙々と、今日を泳ぐ。
朝日を吐き出すまで、
眠らずに