あの人と話した。
なんてこともない、たぶんくだらない話。

隣で笑ってくれた。
こっちを見て、すごく楽しそうに。

どこかに出かけようなんて言って。
準備をしている時ですら、嬉しさが湧いてくる。

気づいたら、いつのまにかそんな時間は終わっていて。

どんな関係かなんてわからなかったけれど。
またあの人に会えたらいいのに、そう思いながら身体を起こしてカーテンを開けた。

陽の光。白く溶けて消えていく、淡い記憶。


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お題　叶わぬ夢

「キンモクセイの匂いだ」
「そうなの？あ、この甘いののこと？」
「うん」
「すごい、花の香りとかよくわかるね」

そう言ったら君は照れくさそうに笑った。

「この匂いしかわかんないけどね」

ふわり、とゆるんだ目もとと頬。

あの時に強く胸に刻み込まれてしまったから、金木犀の季節が訪れるたびにその甘さを思い返している。


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お題　花の香りと共に

あ、あれやるの忘れた。

あの時あの人にああいう風に手続きの案内したけど、もしかして間違ってた？こっちのやり方の方が良かったかも。

さっきまずいこと言っちゃったかな。うまく伝えられなかった。なんだか空気が冷えた気がした。




ああ。今日もまた失敗した。
ネガティブな記憶を繰り返し、自分で刷り直す。

そうやってずっと胸のあたりがすっきりしないでいる。
いつもいつも、頭のなかが波立っている。


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お題　心のざわめき

ふと、振り向く。
なつかしい匂いをかいだような気がした。

人、人、人。
そのうちのひとりとぶつかりそうになって、あわてて謝って、身体の向きを変えて。


わからなくなってしまった。

君がいる、と。そう感じたのに。


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お題　君を探して