NoName

Open App

「キンモクセイの匂いだ」
「そうなの?あ、この甘いののこと?」
「うん」
「すごい、花の香りとかよくわかるね」

そう言ったら君は照れくさそうに笑った。

「この匂いしかわかんないけどね」

ふわり、とゆるんだ目もとと頬。

あの時に強く胸に刻み込まれてしまったから、金木犀の季節が訪れるたびにその甘さを思い返している。


ーーーーーー
お題 花の香りと共に

3/16/2025, 1:30:00 PM