時間よ止まれと願ったところで何も変わらず、ただ時間が過ぎるだけなのに自分は何をやっているのだろうか。さっさと布団から飛び出して顔を洗った方が良い。
分かっている。分かっているさ。でも時間のスピードに振り回されて少し酔っているんだ。だから、酔いが覚めるまで馬鹿げた空想に浸らせてほしい
己の腹の底に巣食う劣等感や優越感。これにより生まれる嫉妬こそが私の原動力である。あの負の感情に操られ、思考よりも腕が動き、描きあげていく感覚は恍惚、いや劣情に近い興奮を感じる。作品が完成した時の余韻は心地よく、清々しい開放感で脳が痺れるのだ。この余韻に浸る自分だけの時間が好きだったりする。
皆、楽しく周りを気にせずに描けと言う。あの笑顔で耳障りのいい言葉だけを言うテレビ番組に似ている。この言葉で勇気をもらい描ける人間はすればいいと思う。しかし、出来ない人間もいるだろう。やつらは、この深く陰鬱で殺意に溺れた世界を知らない。
「おい、君。暗い言葉、汚い言葉ってだけで人を傷付ける。だから辞めた方がいい」
「アンタだって綺麗な言葉で人を傷付けているじゃねぇか」
嫉妬や復讐によって生きる意味になりえることもある。私はそういう人間だ。正しさは何かと悩む時間よりも、転がり堕ち続けた方が進めるからだ
朝は嫌いだ。とくに、カーテンの隙間から差し込む太陽の光が好きではない。自分の醜さが暴かれているような感覚に陥るからだ。でも、すべてを嫌っているわけではない。朝の布団の温もりに顔を埋め、薄目で見る、嫌われ者の埃がキラキラと輝きながら舞い踊っている様子は、実は好きだったりするのだ。
けたたましく響く時計のベルの音でふと目が覚めた。私は目を乱暴に擦り、呻き声を立てる。頭が覚醒するにつれて胃の不快感と頭痛が重くのしかかる。
「あー…最悪だ」とつぶやく朝。これを何度繰り返しただろうか。しかし、それでも自分にとって最も生きていると感じる瞬間である。