つつも

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1/3/2024, 12:07:30 PM

【日の出】

「ご覧下さい、今年初の日の出です」
「やっぱ初日の出を見ると、新しい年が始まったって感じしますよね」
お昼のテレビで初日の出の映像が流れる。
新年挨拶のため、おじいちゃんの家に親戚が集まる。僕はお年玉を貰いながら横目でテレビに釘付けになっていた。

毎年お年玉がメインでテレビなんて気にしないのに、今年はたまたま目に映った初日の出の様子に何故か心打たれた。
「パパ、初日の出見てみたい」
パパは困ったように、えぇ?と言う。
「初日の出はもう生で見れんが、日の出が見たいのだったらこの近くに穴場があるぞ」
おじいちゃんが教えてくれる。加えて、
「だけどこの時期は寒いし、早起きしなくちゃ見れんぞ」
心配そうに言ってくるが僕は平気だ。ただパパは寒いの苦手だし、起きるのも遅い。
今度は僕が心配そうにパパを見る。パパは僕の視線に気がつくと、諦めたように言う。
「わかった。じゃあ明日見に行こうな」

その言葉を聞いて僕は明日が楽しみになった。明日は何が何でもパパを起こして連れて行ってもらおう。

1/2/2024, 11:37:48 AM

【今年の抱負】

学校が始まった。
「早速だけど、皆さんに抱負を書いてもらいます」
私は、生徒たちにプリントを配った。
反応は様々だ。目を輝かせペンを走らせる子、頭を抱え込む子、あからさまに嫌そうな顔をする子。
半数以上の生徒たちは熱心に考え、ペンを持ちだした。

その間、私は教壇で1人考える。
…抱負か。自分の今年の抱負とはなんだろうか。
こんな機会でもなければ自身の抱負なんてあまり考えもしないだろう。
ふと、目の前に座る生徒たちを見た。彼らが何を書いているのか気になった私は、机の合間を縫って歩き出す。彼らは、自分が目指す将来の目標や夢を書いていた。

私は、自分がなぜ教師になったのか振り返る。
自分が教師になることで、生徒たちの目標や夢を叶えるための支援ができると考えたからだ。
真剣に取り組む生徒たちを見て、彼らの手助けができるよう共に成長したいと思えた。
この授業が終わって先生の抱負を伝えたら、彼らはどう感じとってくれるだろうか。

1/1/2024, 2:35:28 PM

【新年】

年が明けた。

イベントというものを一切やらなくなった自分には実感がない。
いつも通りの日々を過ごしていると、弟がやってきた。会うのはいつぶりだろうか。
お互い挨拶はそこそこにして、食事に出かけることにした。

田舎だからほとんどの店が正月休みだ。扉には年中無休という文字のとなりに、お知らせという紙が張り付けてある。
「1/1、1/2 休みます」
…となりの年中無休の文字はなんなのだ。

やっと見つけたカフェの中、弟は旅行を楽しんできたと写真を見せながら語っていた。
旅行か。久しく行ってないな。
…そうか、楽しむ心だ。
いつの間にか毎日が変わり映えのない日常に変わっていた。世間がイベントである中でも、いつもと変わらない日々。
変わってしまったのは自分の心だと気づいた。

「次はお盆の時にでも来るよ」
弟は笑顔で帰って行った。
そんな彼を見て、もう一度変わってみようと思えた。
自分の中で、どこかモヤモヤしているこの気持ちが晴れるかもしれないと思えたのだ。