大学進学するとこ一緒なんだから、いま無理に会わなくてもいいじゃんってさ、つれないなぁ。新しいコミュニティが出来た君は知らない君になる。今ここまでの君ともう少しだけ一緒にいたい。
高校で長い時間一緒にいた友達は、普段ならあたしが仲良くならないような人で、寮で唯一同学年で同性だったってだけの人。朝は起きないくせに30個くらい目覚ましかけるし、思ったこと全部言っちゃうし、好きじゃないところの方が見つけやすい。
高2の夏、彼女は花火が見たくて泣いてた。
部活も頑張りたいけど、花火も見に行きたい。もし、一人暮らしじゃなくて親と住んでいたら車で会場まで送ってくれたかもしれない。でも、この高校に来たいって決めたのは自分だから。悔しいって泣いてた。
彼女と会えてよかったと思った。
花火を見ると彼女を思い出す。見れてないのに、高2の夏といえば花火が浮かぶ。
涙があってよかった。言葉以外でも想いを伝えられる。暴力的なところが海と似てる。
歩き方と息の吸い方、この2つがあたしは下手だと思う。跳ねてたり、音が聞こえちゃったり。誰にも教わらなかったし、みんなが出来るものだとされてるから余計心細いね。
もう受け入れることにした。でも、受け入れるだけの余裕が足りない。博識な分野があるとか、スタイルがいいとか、そういう揺らがない自分自身の価値でしか相殺できない。チャームポイントにするには何かが整ってなきゃいけない。そう思っちゃうあたしはまだ大人にこだわってる。
付き合ってる人が猫が好きだったから、猫の箸置きをあげた。中学生が喜ぶわけないよね、今思えば。普段使ってるのかも聞かなかったし。彼は韓国のお洒落な日焼け止めをくれた。あたしがちっちゃい頃から日焼け止めを欠かさず塗ってることを知っていたから。でも、あたし日焼け止め嬉しくないよ。好きだから塗ってるんじゃないもん。韓国好きなのもあなただよね。あ、効果がいいものをえらんでくれたんかな。ごめんね、箸置きも。なんかね、あたし箸置きとか好きなんだ。箸置きがってか箸置きにときめける人が好きでさ。あと、喜びそうだと思ったからとかいって道端の花で冠作ってくれる人とかが好きでさ。日焼け止め嫌だったな。あたしのどこが好きだったのかな。箸置きもごめんね。押しつけたね。
その日焼け止めはずっと本棚に置いてある。使えなかったし使わなかった。別れてもずっと置いてあった。夏ちょっと塗って捨てた。匂いが無機質で冷たかった。心を動かされたかった。