「まだ4時だから」
寒い…と思って起きたら
君に毛布を奪われていた
んにゃろーと
毛布を奪い返すために
少し強めに毛布を引っ張ったら
「うーん」
と眠そうな抗議のうなり声
暗がりでスマホの時間を確認した君に
「んー、まだ4時だから。」
と毛布ごと抱きしめられ、
もう少し寝ようと背中をトン、トン、トン。
夢と現実が混ざった君と
甘く温かい時間を食む
「またね」
寂しくて 寂しくて
繋いだ手を離せずにいた別れ際。
次に会えるのは10日後。
骨ばった温かい手が
確かめるように5回撫でて、私の手を離した。
さよならは言わないで。
最初に交わした約束は今も有効。
「足掻く」
浮いたり 沈んだり
泣いたり 笑ったり
呼んだり 呼ばれたり
傷つけたり 傷つけられたり
愛したり 愛されたり
そうやって過ごして、過ごして、
私は光と闇の狭間で愛を叫ぶ。
「何してた?」
「今日は午前中に機種変行って、その帰りに綺麗な色のセーターないかなーってぷらーっと見て。お腹空いてきたから前に一緒に行ったパン屋さんの裏の静かなカフェでお昼食べて、本屋さん寄って、それから、部屋の掃除してた」
「お疲れ!あれ。晩御飯は?」
「晩御飯のこと忘れてた……掃除してたらさ、写真が沢山出てきてね。それ見てたら…今」
「今度、一緒に整理しような」
「うん…あ、何時の便だっけ?」
「最終便の1個前の、19時40分着だよ」
「迎えに行くね」
「いいよ。寒いから家で待ってて」
「待てない、行く。」
「…ありがと。」
心が走る、距離。
「君が泣くから」
眠いのか
お腹が空いたのか
オムツが気持ち悪いのか
それとも抱っこ要求なのか。
両腕にすっぽり納まるサイズの君に
思いつく限りの「どうした?」を問いかけながら
駆け抜けた日々だった
あれから幾年。
1人前の口振りで私に説教とかするくせに
今日は「悲しいより悔しい」を背中に滲ませながら、
声もあげずに静かに君が泣くから
心の中で「どうした?」を問いかけながら
傍らでそっとお茶を飲む。