ただひとりの君へ
安心していい、誰もが生まれときはひとり。
誰でも死んでいくときにもひとり。
一緒に行けたとしても、おそらく一緒に行ける場所なんかない。
もちろん世界のいろいろなものと一緒に生きていければいいんだろうけど、同じくらいに辛いことも増えるんだし、そこにはどうにもならない辛いことも必ず増えます。結局それが良かったかどうかは解釈次第の結果論です。
御縁を大切に育てて、辛いことにも耐えて生きていくんだけど、でもやっぱり、いくらたくさんのひとに囲まれて、多くのものに囲まれていても、この世を去る時には、良かったことの記憶や体験しか残っていなくて、みんな一人。
だからいらない比較をしたり、焦ったりしてもしょうがないんだし、誰でも最終的にそこは平等。
手のひらの宇宙、って難しいな。
人間の宿命が星辰の動きに依るとして、そこに手相が関係すると… とか言ってもかなり苦しいこじつけにしかならないし。
手のひらに持った器の水に、きらきらと輝く星空、あたりのイメージしかないけど、月ならともかく星まで映るのかな。
あとは壺中天のような、手のひらですくい上げた限局された空間にも、無尽蔵の小宇宙が、のような?
風のいたずら?
そう、風が語りかけたりするんだよね。
ー『十万石饅頭』ー
透明な涙って、それじゃ透明じゃない涙なんかあるのかというと...
血まみれの涙、のたうち回って砂に塗れた涙、腫れて目ヤニが混じった涙...
いずれもろくな涙じゃない。
暗い夜に泣きながらふと灯りを見ると、光が明るく滲んでさっと拡がることもある。
未来への鍵は、たくさんある中から一つしか選べないのが難しくて、一つを選んで頑張って開くと、その段階で他のたくさんの扉が開けなくなってしまう。
その先に何があるのかも結果論なので、そこから次に広がるどれかの扉の鍵を開けていくか、ときどき戻れる扉もあるけど、戻ってみてももう他の扉も変わっていたり、なくなっていたりする。
今開けられる鍵を開けるか、もう少し条件を換えてから次の扉を開くか、そうやっていくしかないんだけど、それはたぶん日常でも無意識で常にやっていることです。