#51 冬のはじまりを感じた。病院も少し寒くて、冬を感じた。
窓の外の世界でしか、冬を感じないと思っていたけど、少し感じた。彼が病室にも来てくれた。お互い、点滴をしていて。
___冬のはじまり
#50 病院で、彼女と出会ってしまった。
あの日学校で倒れてから、病院に搬送された。そして、病気がわかった。自分の何も知らないところで身体に危険が迫っていたなんて、、、思ってもみなかった。
ずっと、「生きること」や「死ぬこと」については考えていたことがあったけど。それでも、廊下で急に激痛を感じて、初めてでどうなっているのかもわからなくて、怖かった。
だけど、彼女の言葉で少しは落ち着いて、助かった。
それからずっと入院しているけど、まさか彼女がいるなんて。
前、発作らしきことが起きている時にあったな、と思い出す。
そういうことだったのか?
そう思っていると、勢いよく話してきた。自分に対しての気持ちを。正直、すごく驚いた。だって、同じことをおもっていたから。だから、すぐに逃げようとする彼女を止めた。
「ここで、終わらせたくない。終わらせるなよ」と。
彼女は、泣いていて、自分の死がわかっているように
見えてしまったから。
___終わらせないで
#49 死ぬ前に私の思いを伝えないと。
病院内を歩いてみた結果、彼を見つけた。
すごく緊張していたし、
お互い入院着で恥ずかしいかったけど。
緊張で速くなる心臓を落ち着かせて、話しかけた。
愛情を彼に話す。
私が入院していること。彼が入院していること。
わからないことや衝撃を受けるような現実を見るのはやめて、短い時間でいいから、と思いを伝えた。
彼は混乱していたけど、優しくいつもの笑顔で聞いてくれた。
___愛情
#48 今日は、微熱でなおさら、きつかった。
まだ、中学生で余命宣告された病気は、死亡率が癌の次に多いと言われる心臓病。毎日、息をするだけで苦しい時がある。
どんどん最期に近づいているのだろうと自分でも感じていた。
それでも、必死に生きている。
まだ10年ちょっとくらいしか生きていないのに、
やりたいことも山ほどあって、
これからやりたいことができそうだったのに。
もう人生が終わっちゃうなんて、残酷すぎて笑ってしまう。
それでも、私はギリギリまで必死に生きる。
「必死」って必ず死ぬ、と書くけど。
生きたいと思う理由があるから。
きっと、今あの人だって頑張ってる。
入院している病院で彼の姿を見てしまった。私が検査に行っている時、運ばれているのを見た…。名前も読んでいて、彼だとはっきりわかってしまった。
いつも見ていた姿とは違ったけど、彼だとは分かった。
彼は、病のせいで変わり果てた私に気づいたのかな。
まぁ、気づくはずないよね。辛い思いをしているのだから…。
微熱のせいで、いつも以上に身体がだるくて何もできない。
このつらさに終わりなんてないのに………。
___微熱
#47 私たちは、太陽の下で生きている。
辛いことも沢山ある中で、「命は大切だ」と頭に刻み込んで、必死に生きている。いなくなった方が楽。そう思う気持ちも、もみ消して生きてる。
太陽が昇ってまた、沈む。その繰り返しだった。
病室の窓から、朝日を眺め、夕日を眺める。
この入院が終わるのは、命が終わる時か、残されは時間が一瞬の時か。どちらも良いものではないな…。
そんなことを今さら思う自分に対して、ふっ、と笑ってしまった。私には「残りの命を大切に」と脳に刻み込まないとね…。
___太陽の下