#通り雨
噂の雨男がこの村にもやって来た。
来る場所、来る場所に必ず通り雨を降らせるその男はどこでも噂になっていた、
長居すれば村を水没させる恐れがあり、
決まって追い出されるように村を追われてきたその男は水不足のこの村ではおおいに喜ばれた。
その日は村中集まり、大雨の中男を囲んで夜通し宴会騒ぎだったそうだ。
#秋恋
恋をするならどんな季節
やっぱり夏
開放感があるよ思い出も残りやすいし
情熱的だけど夏恋は早く終わりそうイメージ
じゃあ秋
夏より長続きするって聞いた
秋恋はなんだか風景が寂しいよ
それなら春は
新しい始まり爽やか
花粉キツそう
だったら冬
クリスマスの聖夜なんていかにも恋する季節だよ
私寒いの苦手
あのさ、否定ばかりしてると恋愛どころじゃあないよ
#大事にしたい
ねぇお母さん、大事にしたいことってなにかある?
何よ急に
学校の宿題なんだ、身近な人の大事にしてること作文で必要なの、なんかない?
そうね…挑戦を忘れないことかな
へーなんの挑戦
日々を惰性で過ごさないこと、何でもいいから一日一回新しいことに挑戦するの
へーそうなんだありがとう作文なんか書けそう
ところでさ
何よ
今日も晩御飯はカレー?
当たり前でしょう
明日は?
まぁカレーね
日々を惰性で過ごさないんじゃないの⁉
何言っての今日はアスパラカレーよ
明日はキムチカレーね
…ちっちゃい挑戦
#命が燃え尽きるまで
学校から帰ってすぐに、マンガを描いてた。
僕の町は田舎で娯楽はない、漫画を描くしか楽しみがとくになかった
漫画の賞に応募していた
ペンにインクを染み込ませて
描き続ける。
命が燃え尽きるまで
血を注ぎ込むように
#夜明け前
この前富士山に登った
八合目付近、夜中の三時に起きて頂上を目指してひたすら登り続ける、みんなで頭にライトを付け一つの光の生き物のような一体感がある
苦労してなんとかみんなで頂上までたどり付いた
真夏にもかかわらず富士山の頂上は息が白くなる寒さだった
夜明け前は不思議な高揚感がある
燃え上がるような太陽、不思議と目に焼き付いていた。