幸運の神には前髪しかないが
坊主にかみは不毛な話
「奇跡をもう一度」
もうないとまだあるという口癖に
人はなにを見ているかを知る
「奇跡をもう一度」その2
占いは全く信じないけれど
1位のときだけ一応聞いてる
「奇跡をもう一度」その3
もし君がトーマスエジソンだとしてだ
九十九の努力はできるか
「奇跡をもう一度」その4
宵空を吸いて吐いてをくれぐれも酸いも甘いも 溶けかけてゆく
「たそがれ」
宵空や蜜柑6個の箱重し
「たそがれ」その2
黄昏に心は一片はがれゆく
「たそがれ」その3
黄昏にゆうづつひとつ一段と西赤らめる弾道ミサイル
「たそがれ」その4
今日はどうもお題に対して考えがまとまらないや そんな日もあるか
「きっと明日も」
明日やるの明日はずっと来ないけど
今日おまえんち?行けたら行くよ
「きっと明日も」その2
旧校舎誰も知らない踊り場でしゃがんで君と予鈴が鳴るまで
「静寂に包まれた部屋」
大粒の汗が伝わる父の背の五分の沈黙破り水風呂
「静寂に包まれた部屋」その2
空の棚
また明日
待ってますねと
店員の笑み
ケーキより甘い
「別れ際に」
百貨店の幕下りるまでの一時を
行きつけの店の馴染みの人と
「別れ際に」その2
曲がり角
たしかめるように
木霊する
おわりの遊び
「またね!」に「またね!」
「別れ際に」その3