「あかりね!大きくなったらパパのところに行くの!」
娘が言った将来の夢
それは旦那のところに行くこと
その旦那は1年前、あかりが2歳の時に病死した
大きな病だった
事例が少なく、手の施し方が分からないとお医者様が仰っていた
そのため、旦那は病気が発覚してから半年で亡くなってしまった
その旦那の元に行こうという夢を掲げる娘
「パパはね、ずっとずーっと高いところに居るんだよ。」
「そうなの?あかりでも行ける?」
「行けるは行けるんだけど、パパはあかりが来たら泣いちゃうかも。なんでこっちに来ちゃったのーって」
「パパはあかりのこと嫌いなの...?」
「嫌いじゃないさ。大好きだから来てほしくないんだよ」
この子にもいつか言わなきゃな
ドレスのスカートが空中を花のように舞う
ステップステップここでターン
くるくるくるくるくーるくる
綺麗に整えられた髪も、おろしたての靴もボロボロになるくらい踊りたい
昔みたいに
子供みたいに
子供のように
私は放課後が好きだ。
部活動をやっている生徒の声が微かに聞こえてくる廊下を歩くのが最近のマイブーム。
沈みかけな太陽が出している陽の光に当てられながら歩くのが気持ちいい。
誰もいない図書館で、ぽつりと1人で本を読むのも好きだ。
いや、でも友達と喋りながら帰るのもいいな。
嗚呼。今日の放課後は何をしよう。
放課後
朝一番にする私の楽しみ
それはカーテンを開けること
天気がいい日の朝はとても気持ちがいい
しばらく外を見て黄昏れるのまでが楽しみのセット
そうしていると不思議とやる気が込み上げてくる
今日も頑張ろう!って思えてくる
そして今日も朝が来た
いつも通りカーテンを開けて一言
「よし。頑張ろう」
カーテン
今日の夜は彼と一緒にデートをするの!
彼のお仕事の都合上なかなか会えないから今日みたいに会えるのはとっても嬉しい!
彼が可愛いって言ってくれたお洋服に、このお洋服に負けないくらい可愛いメイクをして、とっても可愛いアクセサリーをつけて。
とびきり可愛い私で「今日誘ってくれてありがとう!」って言うんだ!
そして私は今日ひとりぼっちを卒業する気がするの。
いつもより高いレストラン。
いつもは「どこか行きたい場所とかある?あるなら連れて行ってあげるよ」とチャットが来るのに今日は来ないし、相手がデートプランを考えてくれていると思う。
多分、帰る頃には私の左手の薬指に綺麗に輝くリングがはめられている。
可愛くメイクしたのに、涙でぐしゃぐしゃになっちゃうかもな。
涙の理由