1/20/2024, 7:47:48 PM
海の底
私は海が苦手。危険な生き物が居るし、ベタベタするし、溺れちゃうかもしれないし。そんな所にわざわざ行きたくないに決まってる。
でも、私は今海に向かっている。連れて行かれてるって言った方が正しいかな?
普段はこんな風に後部座席には乗らないんだけどね…どうせなら助手席が良かったけど今日は荷物で埋まってるみたいだから仕方ない。まあミラーでチラチラと私の方を見てくる彼が可愛いからこれはこれで良かったかも?
あ、もう海に着いたみたい。
車から降りる時、彼はエスコートしてくれた。少し恥ずかしいけどやっぱり素敵な人ね。
でも重い荷物は私に持たせるの。たまにこういう事しちゃう人なのよね…別に良いんだけどさ…
やっと海に到着!海が苦手な私には汚い水にしか見えないけど。
彼、なんで海にしたんだろ…人の気持ちも考えて欲しいわ。
私と彼はボートに乗り沖の方に進んだ。
当たり前だけど全然人居ないな…
数分経った時、彼はボートを停めた
私は察して覚悟を決める。
私は何となく彼の顔を覗き込むが彼は怯えたような顔をするだけだった。
最後くらい笑顔を見せて欲しかったな。
彼は私を勢いよく海に入れた
全身が浸かりきる
あまり良く分からないけど多分寒いんだろうな、真冬だもん。
重い荷物をつけられた私の体は浮かぶこと無くゆっくりゆっくり沈んでいく。
何でこんなことになっちゃったんだろ。
私はただ彼に一目惚れしただけなのに。ただ付き合ってもらいたかっただけなのに。ただラブレターを送っただけなのに。ただ彼の写真を撮っただけなのに。ただ彼の生活を見守ってただけなのに。
彼と急接近できたと思ったら殺されちゃうし大嫌いな海に捨てられちゃうし…
せめて1度でも好きって言ってもらいたかったな
そう考えている間にも身体は沈みボートに乗っている彼との距離が離れていく。