【「こっちに恋」「愛にきて」】
こっちに来い
そう言いたい
こんなにも惹かれているのに
恋い焦がれているのに
無理にでも
力ずくでも
と思う自分は
独善的なんだろう
会いに来て
何て言えない
貴方には貴方のあり方がある
そこに割り込む何て
「でも」「でも」
許されるなら
声を上げても良いだろうか
「 !」
「 !」
【影絵】
肩を並べるなんて おこがましい
それでも 少しでも近くにいたい
声をかける勇気さえ持てない自分に
情けなさを感じつつ
夕暮れ時の長く伸びる影に
そっと寄り添う
ただ
こうして
影を重ねるだけで
そして陽が沈み
影も消え
私も消える
【フラワー】
君の瞳に僕が映る
その唇が僕の名を呼ぶ
燻っていた毎日が嘘の様に晴れ渡り
荒れていた心が凪ぐのを感じる
君との日々 こんな幸せ 勿体ない
噛み締め 全てに感謝
なのに何故
こうも世界は理不尽
いやだ
燃やさないで
朽ちぬよう
褪せぬよう
プリザーブド
他には何もいらない
ただ
此の儘 其の儘
傍にいて
【春爛漫】
寒さが和らぎ
こわばりから解放され始めた頃
急に気温も上がり
開花の声も耳に入る
鳥のさえずりを誘い
草花が芽を育む春風がそよぐ
立ち止まらせては くれないんだ
時おり強く背中を押され
戸惑いながらも色付く風景に溶け込まされる
分かってるよ
うん
大丈夫
届いたのか
押していた力が緩む
少し上げた視線の先
淡い色の花と
応える様に蜃気楼が揺れていた
【曇り】
ギラつく陽射しに耐えきれなくなった?
そうだね
眩しく煌びやかだけど
常に曝されて息が詰まる
此処
灰色の世界は心地良いかい?
まぁ少し休んで行くと良い
でも一息吐いたら
飽和する前に歩き出そうね
踏み出し光を求めるか
後退り闇に呑まれるか
それは君の自由だ
誰も止めはしない
でも進むのなら
立ち止まった時はまた
こうやって包んであげるよ